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上城 尚也の場合
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6月末の、蒸し暑い電車内の吊革に両手で掴まりながら、上城 尚也(カミシロ ナオヤ)は気怠げに俯く。
上城は何よりも暑いのが苦手で、そのせいで普段はこの季節の電車に乗ることも躊躇う程だった。けれど今日は、幼馴染みでもある親友の2人の待ち合わせに向かう為に、このクソ熱い電車に乗る必要があった。
(あっちぃ・・・こんだけ人が乗ってるんだから、もっと冷房効かせてくれよ・・・)
この時間の車内は、通勤ラッシュ時の身動きも取れないような超満員状態ではないものの、電車がカーブで軽く揺れる度に隣で同じように立っているサラリーマン風の中年に肩がぶつかってしまうほど密集している。
都会の電車に慣れている人間ならばどうという事は無い人混みも、上城には苦痛であった。
火照って汗ばんだ肌を少しでも冷まそうと片手でシャツの胸元を掴んで仰ぎ、ぬるい風を送り込んでいると、不意に、尾てい骨の上あたりに貼り付いているような生温かさを感じる。
(あんだよ、誰かぶつかってんぞ)
ぬるい人肌に嫌悪感を覚え、身体を半歩分移動させる。だが、逃れたはずの嫌悪感はすぐにまた襲ってきた。それも、さっきより大きくなって
(・・・ッ!?なんだこいつ、なんで、)
腰のあたりに触れていたはずの違和感が、今度は尻の上に押し当てられる。
ゾロリとなぞられるそれは、間違いなく人間の手の感触だ。それも、指の間接がゴツゴツと太くて掌がブヨブヨした、男の手。
(っはぁ!?んだよ、これ・・・気色、悪ィ!!)
ゾワゾワゾワっと、背筋を駆け上がる悪寒と同時に、吐き気が込み上げてきた。
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