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無駄4
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夜中だから、とか考えたりした。
我慢をする時は、いつもTPOを考える。
夜中に、ましてや警察官が大声を出す訳にはいかない。
これ以上無駄にイライラを溜めないように百合子を置いて部屋に上がることにした。
「百合子、先に上がってるから」
「あら、二都さんとお話しなくても?」
「そいつとは散々話したからいいんだ」
「そう、じゃあ私も一緒に上がろっと。おやすみなさい、二都さん」
「ええ、おやすみなさい」
優しい笑みを浮かべて二都は手を振った。
そんな顔するから未だに女性に狙われるんだ。
嫌味を心の中で吐きながら、百合子がこちらへ追いつくのを待った。
二都は、三守たちが角を曲がるまで車に乗らなかった。
マンションのエレベーターに乗り込む。
ドアがしまったと同時に、百合子が口を開けた。
「あなた、二都さんと何してたの?」
まずい。
こんなにすこぶるいい笑顔の百合子はまずい。
警察官ではないのに、警察官顔負けの取調べ(仮)をする時の顔だ。
何回この笑顔に負けたことか。
しかも、『遊んだ』ではなく『何を』してきたか、という質問。
百合子お前もしかしてわかってるんじゃないか、と内心ヒヤヒヤしながら、持ち前のポーカーフェイスを使って返答した。
「何…?何って、飲んだだけだぜ」
「本当に…?」
「ああ。久しぶりに時間が合ったもんでな。流れで。」
「あら、そう。そうなのね」
それ以上の追求は来なかった。
その代わり、いきなりネクタイを捕まれ、下に引っ張られた。
突然のことでよろめいてしまい百合子を壁際に追いやってしまった。
「あー…こういうの、壁ドンだっけか?」
三守の言葉には百合子は答えなかった。
その代わり、とばかりににっこり笑った。
「…あなた、二都さんのニオイがするわぁ」
この場合のニオイは、フェロモンのことである。
βの百合子にもわかるほど染み付くフェロモンが発生する場面はひとつしかない。
発情した時だけだ。
「百合子」
「ほら、ついた。はやく降りて降りて」
百合子に背中を押され、エレベーターを降りた。
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