アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
脱走。
-
「不審者の話…結構な話題になってたから
いたって言うのは知ってたけど。先生の事助けてくれたの上島くんのことだったんだ」
話の流れで感づいた柊の言葉に上島はピクッと眉を動かす。表情は変わらないが、その話題は嫌だという感じだ。
「呼び出されていったけど、場所が場所だったからさ、あんま印象良くないかなぁ〜って思って黙ってたんだ〜」
「上島くん女の子好きだしね。」
場所は吉原のことだろう。正確には吉原とかいう身売り集団の部活連中の溜まり場。
確かに上島みたいなやつとは縁がなさそうな場所だ。
でも助けてくれた時に上島は今みたいな爽やかなオーラもなかったし
あの場所を特等席とも言っていた。
多分何か事情があるのだろう。
ーまぁ本人が何も言っていない以上俺は何も聞かないし。
何か言っていても、できたら聞きたくない。
理由は面倒だから。興味もない。
あまり思い出したくない記憶なのでもう考えるはやめた。
「あ、俺先生に聞きたいことあったんですよ!この後いいですか?」
!!!!
これは抜け出せるチャンスかもしれない。
普段なら絶対に嫌な言葉が、天からの救いのように聞こえた。
「いや、今すぐ聞こう。俺は教師だから、聞かなきゃいけない。そうだそうだ」
「あっ、せんせー」
「じゃあな柊。気をつけて帰れよ」
柊に止められる前にもうこの場から離れようと俺は上島の手を掴んで早足に歩き出した。全速力で。
「ちょっと、先生」
上島も手を掴まれているので俺の駆け足についてくる。
さすがスポーツマン、涼しい顔だな。
「先生ってば」
とりあえずどこまで行こうか。もうこのまま帰ろうか。あ、旭川先生に怒られるかな。それは嫌だな。
「いっーー!?」
後もうちょっとで止まろうと考えていたその時、不意にすごい力で引っ張られた。
「読んでんだけど聞こえないワケ?」
あ、怒ってる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
81 / 81