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『六節』
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血痕のある廊下を進んでいくと、一つの部屋の前で、血痕が消えていた。
アロク王子が部屋の扉を開けた。
───中にムツルの姿は。
「ムツル!」
「…」
真っ赤に染められた壁が、部屋の中に広がっていた。
ペンキではなく血だ。
幾つも幾つも、血が付けられ、赤黒く染められた部屋の壁。
「…!牙刃、危ない!」
俺が壁に注目していると、背後から誰かが襲ってきた。
俺は倒れ込み、相手は俺の目線では上にいた。
───…居た。
「ムツル…」
「!ムツルだって解るのか!?赤鬼なのに」
「そうか…コレで赤鬼になったんだな。血染め赤鬼」
「コロス…?」
「…ムツルに殺されるなら、俺はいいよ」
「コロス…スキ?」
「ムツルを守れない俺は、要らないんだ…」
「死ぬ気かよ!?」
「ムツル、ごめんな?俺…お前を守るって…言ったのにさ…」
結局、俺にはムツルもミツルも、誰も守ることなんて出来ないんだ。
俺はただの人間だからな。
ムツル、俺は守りたかったよ、お前を───…。
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