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「ん……」
ふぁ、とひとつあくびをして顔を挙げると、若干首が痛んだ。
真っ暗な視界に一瞬動揺して、端末の電源を入れる。
強い光に目を細め、時間を確認する。
「…………あれ…?」
画面には21:32と表示されていて、そんなに人間寝れるものかと頬をかく。光に目を慣らしてから明かりを付けると、殴り書きの置き手紙がテーブルに置かれていた。
『睡眠薬結構キツいの盛った。体には適合してるから気にすんな。梨華にも盛っといた。以上』
名前の書かれていないそれは、字体と口調を考えれば和光だと言うことが解った。ため息を吐いて寝室へと向かう。何故か掛かっていた鍵を開け、寝息を立てて眠っている梨華を罪悪感なく見られるのは、和光が盛った睡眠薬だという事がわかっているからだろうか。薄暗い部屋のベッドで横たわる梨華のもとへより、しゃがみこんで声をかけた。
「りーかちゃーん。もう夜ですよ~。寝過ぎるのは美容に悪いよ~」
「…んぅ………」
僅かな呻き声と共に梨華はうっすらと瞼を持ち上げる。
「おはよ。」
「……せーや…さん……おはよ……」
ふにゃりと笑って手を振ってくる梨華に、心臓が跳ねた。動揺を悟られないように微笑んで頭を撫でる。その時、不意に会話が思い出された。
『梨華に恋愛感情でも持ってんのか?』
『っっっっはっ…!?』
『……持ってんのか。』
『…まぁ……そうだね……。僕同性愛者って訳じゃないはずだけどなぁー』
最早何故自分が素直に認めたか覚えて居ないが、この状況で思い出されたのは何故だろうか。
気恥ずかしくなって手を離すと、梨華に捕まってしまう。
「………やだ……せーやさ……」
急に泣きそうに歪んだ梨華の顔に目をむく。
不安気に震える手を握り返した。
「どうしたの?」
「……せーやさん…居ないのやだっ………」
子供のように首を小さく振る姿が愛おしくて、頬を撫でる。
「ちゃんと居るよ? 大丈夫。」
微笑んで言ってやると安心したように笑い返して来て。
穏やかな心中、彼を護る事を誓った。
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