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体育祭ももう大詰めにさしかかり、今秋人達は自分達の最後の出番である色別対抗リレーまでの時間を雑談しながら待っていた。
たわいもない会話で皆んなが盛り上がるなか、秋人とサイカは先ほどよりほんのちょっぴり近い距離でお互いの存在を感じては幸せに浸り、たまに視線を絡ませてはお互いはにかんで下を向く。
そんな2人の甘い雰囲気に、サイカの気持ちを知る翠蓮と紅は何となく何かあったのだと気がづいた。
二人は後でサイカにあの後何があったのか聞こうとお互い目配せすると頷きあう。
また、同じように篤人も二人の間に流れる空気がさっきと何だか違うと気づいていた。しかしそれがどう変わったのかまでは分からず頭に「?」を浮かべる。篤人はまさか二人がそういう関係だとは考えもしなかったため、ただ凄く仲がいいんだろうくらいですぐに気にしなくなった。
佑樹は気づいてすらおらず、ただひたすらに翠蓮に話しかけ続けている。
六人の間を穏やかな時間が流れて行く。
秋人は隣に座るサイカの顔をチラリと盗み見た。
いつもとは違う髪や服装だが顔は大好きなあの優しく綺麗なサイカのまま。
いくら見ても飽きないほど綺麗で内面が滲み出た優しいサイカの顔は秋人をうっとりとさせ、その頬を紅潮させた。
(こんな綺麗な人が俺の、、かっ、彼氏だなんて、、。)
秋人は幸せ過ぎて苦しい胸から息を一つゆっくり吐き出すともう一度サイカをチラ見する。
(もっと近くにいきたい、、、。)
お互いの体が触れるくらい近くに、できれば手も繋ぎたいと秋人は恥ずかしいながらも思った。だが、流石に皆んなにバレるし変に思われてしまうよなと諦める。
(ここではまずいけど、家に帰ったら、、、、ギュッてしたりしても、、いい、かなぁ、、?!)
秋人は自身がサイカに抱きつく所を想像した。そして、そのあまりの恥ずかしさに想像した事後悔したが、想像は止まらず更に「サイカさんも抱きしめ返してくれるかも、、、。」なんて乙女な妄想をしてしまい両頬はみるみる熱を持っていく。秋人はだらしなく緩む頬にこのままではマズイと頭の中のそれを取り去るように首を左右にブンブンとふった。
余りに大胆で乙女思考な自分の考に秋人は恥ずかしくなる。
「どうかした、、?」
一人想像しては赤い顔をしていた秋人をサイカが不思議そうな顔をして見ていた。
その顔は不思議そうにされているが、瞳は秋人にもわかるほどの優しく見守るような愛おしみに溢れていた。
秋人はその視線が何だか照れ臭くていたたまれなくて、更に赤みを増した顔を隠すようにそっと下を向いて片手を左右に振る。
「なっ!何でもないですっ!!」
「そう?」
あっさりとそう言ってそれ以上は聞いてこないサイカに、秋人は安心してフゥっと安堵の息を吐いた。
頭の中の事なのだからバレる事はないがやはり少しだけ焦ってしまう。
(こんな事考えてるなんてバレたら恥ずかしすぎてどうにかなる、、、。)
秋人がそう思っていると、隣で微笑んでいたサイカが口元を片手でおおい周りには聞こえないような小さな声でコソッと話しかけてきた。
「、、、ねぇ、秋人。」
秋人もサイカの声のボリュームにあわせ声を抑え返事をする。
「はい?」
秋人はサイカの声を聞き取りやすくするため少し体を傾け耳を近づける。さっきよりも近づいたお互いの距離に胸がドキドキと高鳴った。
しかし、その胸の高鳴りはだまだほんの序の口なのだと、次にサイカに言われた言葉で思い知った。
「、、、家に帰ったらさ。秋人の部屋、行ってもいい?」
耳に吐息がかかる程近くで甘く囁くようにそう言われた
。
大人の色気をふくんだ鼓膜を甘く痺れさせるそんな声。
あまりに色っぽいサイカの声に一瞬で秋人の体は全身の血液が沸騰したかのように熱くなった。
「恋人」になったからなのだろうか?別にいつもと同じように来るだけなのだろうけどやけに意識してしまう。心臓がドキドキを通り越してバコンバコンと変な音を立てている。両手にはジンワリと汗が滲んだ。
「、、、、、、はいっ。」
秋人は何も考えられなくなった頭でどうにか返事をしたが
それは蚊の鳴くような小さな返事だった。
すぐ隣で嬉しそうに「よかった。じゃあ、後で行くね。」という声が聞こえ、サイカの顔が離れていく気配がする。
ドキドキの原因が離れホッと息をつくと、すぐに色別対抗リレーのアナウンスが流れてきて秋人はまだほんのり赤い顔のまま前を向く。
この時の秋人は少し気を抜いていた。
「秋人、お前何でそんな顔赤いのー?!」
秋人の体がビクリと跳ねた。
まるでいけない事をしている所をみられたようなそんな気分で秋人は声のする方へ向く。
するとそこには不思議そうにポケッとした顔をした佑樹の姿があった。秋人は焦りのあまり少し乱暴な口調で佑樹に叫ぶように悪態をつく。
「っ!!きっ!気のせいだろっ!!バカっ!!いいからさっさと行くぞ!?」
そう言って秋人は立ち上がるとズンズンと入場口まで歩き出す。
「えっ!?何で?何で俺怒られたの!?」
急に秋人に怒鳴られた佑樹はわけがわからないと言うように、自分を指差して頭に沢山の「?」を浮かべ答えを求めるようにその視線を周りや篤人に向けた。
「、、、さぁ?」
それに答えてくれたのは篤人だけで、、。
翠蓮は苦笑い、紅とサイカは同じように「?」で、篤人だけは哀れそうな目で佑樹を見ていて、佑樹は更にわけがわからないと涙目になった。篤人は「えっ俺が悪いのっ?俺なんかしたーっ!?」と叫ぶ佑樹を無理やり引っ張っていき秋人の後を追った。
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