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35 (サイカ)
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可愛い…。
サイカは自身の膝の上でおとなしく髪をふかれている秋人を見ながらそう思った。
なぜか顔を手で隠してしまってはいるが少なくとも嫌ではないようだった。
髪をふくたびに秋人からシャンプーのいい香りがする。黒く柔らかい秋人のそれをサイカはどこからか取り出した赤いくしで丁寧にすいていく。
濡れてボサボサだった秋人の髪は、サイカの手によってさらさらになり、なんだかいつもよりも艶やかになっていた。
「秋人、終わったよ。顔をあげて?」
サイカは濡れたタオルをかるくたたみちゃぶ台におき、今度は手で髪をすきだす。
「秋人…?どうしたの?顔をあげて?」
さらさらの黒髪をすきながら話しかけるが秋人は一向に顔をあげず手で隠してしまっていた。
サイカは自身が髪をすいている事でより秋人が顔をあげずらいことに気づいていなかった。
「ねぇ…?秋人?」
3回目にしてやっと秋人は顔から手を離すと、おずおずと顔をあげた。
「サイカさん…。」
顔をあげ自分の名前を呼ぶ秋人にサイカは息をのんだ。
そこには、真っ赤になった頬と、涙目になりうるうるとした瞳でサイカを見つめる秋人がいた。
ドキッ!
なんとも言えない可愛らしい姿にサイカは思わず秋人を抱き締める。
「サっサイカさん!?」
慌てたように腕の中で暴れだす秋人をサイカはさらにきつく抱き締める。
可愛い…可愛い…。本当に秋人は可愛い!
抱き締めながら頭を撫でる。しだいに大人しくなった秋人にサイカは頬擦りをしていると腕の中で秋人の声がした。
「……さ………かし……いから……して。」
「ん?なんだい秋人?」
あまりに小さい声だったためサイカ聞き直す。
「サイカさん……かし……いから……して。」
「ごめんよ秋人、もう1回いいかな?」
「つっ~!!」
秋人は急に強いちからでサイカの腕を払い除けると真っ赤な顔で叫んだら。
「サイカさんっ!恥ずかしいから離してぇーーっ!!!」
大きい声で叫ぶと、秋人はものすごい早さで居間から出ていってしまった。
居間が一気に静まり返る。
サイカは自身の首の後ろに手をあてながらちょっとやりすぎたかなと反省したのだった。
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