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秋人の心になにかが引っ掛かっていた。
(お酒……お酒……。)
秋人は恥ずかしかった事を忘れて、ばっと勢いよく顔をあげた。
キョロキョロと回りを見渡せば、ちゃぶ台の上にはさっきまでサイカが食べていたブラウニーの皿がある。
(ブラウニー……お酒………っ!?)
食べかすの残る皿を見つめながら秋人はあることに気付いた。
サイカが先程まで美味しそうに食べていたブラウニーには、ブランデーがはいっていた。しかも、今日はハプニングにより少し多めに……。しまったと思いながら顔をおおう秋人。
(俺のせいかぁぁぁっ!!)
沈んでいる秋人をよそに、サイカはまだ秋人の背中に顔をグリグリと押し付けている。
しかし、しだいに聞こえてきたすすり泣くような音に、さすがに疑問に思ったのか顔をあげ首をかしげた。
「あきと~?!」
顔を両手でおおったまま微動だにしない秋人にサイカは再度呼び掛ける。
「あきと~?どうしたの~?泣いてるの~?」
頭を撫でながら顔をのぞきこもうとするが、完全にかくしてしまっていて見る事ができない。サイカは「ん~?!」と少し考えた後、何か思い立ったのかニッコリ笑うと秋人の耳にキスをした。
「チュッ」
すると、「ひゃあぁっ!?」という声とともに勢いよく秋人が顔をあげる。
サイカは素早く秋人を横抱きにすると、その頬に片手をそえる。
「あきと~?どうしちゃったの?なんで泣いちゃってるの?」
サイカにより顔をあげさせられた秋人は、なぜかポロポロと泣いていた。
サイカがたずねるとさらに泣き出す秋人にサイカは優しく頭を撫でた。
「あきと~?!大丈夫だからね?どうしたの?泣かないでー」
サイカの言葉に、ずっとだまっていた秋人がゆっくりとはなしだす。
「だって、、俺、、、。サイカさんに失礼なことしちゃったし、喜んで欲しくて、、、ブラウニー、、、、ブランデーが、、、グスッ、、、。」
話ながらまた、ポロポロと泣き出す秋人。サイカはその涙を指でぬぐうと笑いながら言った。
「なんで泣いちゃったのかよくわからないけど、あきと?僕はすっごく嬉かったんだよ!!」
「でも、、俺のせいでサイカさん酔っぱらって、、、。」
「??、酔っぱらって??」
(あっ、自覚なしか…。)
秋人の言葉に首をかしげながらサイカは続ける。
「秋人が僕を想ってブラウニーを作ってくれて、一緒にお茶をしながら食べて、それがすっごく美味しくて……。ホントに幸せだよ。なのになんで泣くの?!僕が酔っぱらってる?だかなんだか知らないけど、それは秋人のせいじゃないよ。それに僕は少しも困ってないし、嫌な思いをしてもいない。だから、ね?!秋人は笑って!?秋人は笑った顔が一番可愛いんだから。」
「本当に……?」
「本当だよ。なんにも気にする事なんてないんだよ。僕はとっても幸せだから。」
秋人はサイカの言葉に、またポロポロと泣き今度は秋人からサイカに抱きついた。
サイカはそれを見て微笑むと、「あきとは本当にかわい~なぁ~」と言って秋人をぎゅうぎゅうと抱き締めた。
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