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68(サイカ)
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サイカは二人の様子をみるために廊下を歩いていた。
襖を開け中に入ると見知らぬ男がたっていてその前に秋人の姿があった。
一瞬誰だかわからなかったが、白く大きな翼を見てその男がカラスだとわかった。
「おや、カラスさん本来の姿に戻ったんだね!」
良かったと思いながら二人に目をむけるとあることに気づいた。
(手を繋いでる……。)
目の前にいる二人、というか秋人がカラスの手をぎゅっと包み込むように握っていてカラスはなんだか照れているように見える。
(…………?)
サイカは二人の姿に胸のあたりが、モヤモヤ、ズキズキと痛むのを感じる。
(なんでだろう…?凄くいたい…。)
サイカが近づいても二人は手を離す事はなく。
サイカは思わず秋人の手にそっと触れた。
(秋人…。)
「秋人、カラスさんの身体の様子を診たいから、ね?」
そう言ったサイカに秋人は慌てて手を離す。
二人の手が離れた瞬間、すっと胸の痛みがひいていく、しかしモヤモヤだけはまだ残っていてサイカの胸を重くしずめた。
それからサイカはカラスの身体をざっと診たり、秋人の作ったプリンを三人で食べたりしたが、サイカの心はずっと晴れないままだった。
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