アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
80
-
「気のせいなのか……。」
ぼそりと呟く先輩に秋人は頭を縦にぶんぶんとふる。
「そうですよ!!きっと気のせいです!」
「でも、もし気のせいじゃなくて五十嵐君になにかあったら…。」
「大丈夫ですよ!!なにもないですし!なにかあったら必ず先輩に言いますから!」
納得行かない様子の先輩に秋人が慌ててそう言う。これ以上話をして、今から家に行くとか言われたら困ると内心ひやひやしていた。
「本当だね?少しでも変なことがあれば必ず僕に言うんだよ?!約束だからね?!」
「わかりました!!」
思ったよりも、直ぐに引いてくれた事に喜びながら笑顔で頷く。
すると、先輩も同じように笑顔になり「いい返事だね。」と言うと、急に立ち止まり「僕はこっちだから」と右にある細く薄暗い道を指さした。
「じゃあ、僕は行くよ、今日はありがとうね急に誘ったのに話を聞いてくれて。本当になにかあったら言うんだよ?!それじゃ、また明日朝練でね。」
「はいっ!先輩さよなら!」
「うん、ばいばい。」
先輩に別れをつげ、どうにか誤魔化せたとホッとしながら歩く秋人は知らない。
そんな彼の後ろ姿を薄暗い細道からじっと見つめる先輩の存在に。
秋人を見つめるその瞳は先程とは違い、冷たく濁っている。
「五十嵐君……嘘はいけないよ…。君からはぷんぷん匂うんだ、僕の大嫌いなあいつらの匂いが…。」
ぎりぎりと、拳を強く握りしめる彼の手からは、ぽたり、ぽたり、と血が流れ出ていた。
「今日はこれくらいにしとくよ。でも、次はこうはいかないからね?。そして必ず見つけてだして、この手で殺してやる…。」
憎しみと憎悪に染まった瞳は、もう秋人が見えなくなってもその場をを見つめ続けていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
82 / 242