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「……やめろよ」
「つれねえなぁ……ねえ、……抱いてくんねぇの?」
倉持の首に腕を回し、耳元で低く囁き、耳朶を
キュッと噛む。
御幸が欲情している時のサインだ。
「くらもち……」
ポソリと呟いて唇を合わせようとする。
倉持は、ふい、と顔を横に向け、スッと立ち上がる。体重を預けていた御幸が、バランスを崩し、
ソファに横たわる。
「御幸……悪いけど出来ねぇ」
「お前、別れる、って本気で言ってんのか?
何でだよ?理由を言えよ!」
ソファに座り直した御幸が、声を上げる。
「理由、って……もうイヤになったから、かな」
「何が嫌なんだよ?なぁ、オレ何かしたか?
悪いトコあったら直すようにするからよ……出来る範囲で、だけど」
出来る範囲で、と、わざわざ付け加えるのが御幸らしい。
こんな時でも妙に冷静だ。そういうトコロも癪に触る、と倉持は思う。
「悪いトコ、なんて。オレがそれを言ったら、
お前、御幸一也を辞めなくちゃ いけなくなるぜ?」
ソファに座っている御幸を見下ろすようにして
倉持が言う。
「ひでぇな。オレ自身が悪い、ってコトかよ」
自嘲気味に言うが、眼は笑っている。
まだ余裕があるのだ、御幸には。
別れを、切り出されても別れる筈などない、と
ハナから思っている。
倉持が自分から離れて行く訳などない、と根拠もなく信じている。
「好きなヤツでも出来たのかよ?」
そんな余裕からか、何故か上からの態度で御幸が
聞く。
「そうじゃねぇ……」
好きな人……男でも女でも、そういう人が出来たのなら、正直にそう言うさ、と倉持は考える。
その方がどれだけ楽なコトだろう。
他に好きな人が出来た、だから お前と別れたい。
そう言えたら、御幸もすんなりと、別れを受け入れるだろう。
ブライドが高い奴だから、他人と比べられ劣ったのだ、と理解した時点でスッパリと関係を切ってくれるだろう。
いっその事、そう言ってしまいたい。
「じゃあ、何でだよ?」
御幸が顎を突きだして更に問いつめてくる。
唇を真一文字に結んで何も言わずにいる倉持に、
御幸は、ふ、と表情を緩めて言う。
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