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柏木が部屋から出て行くと、俺は乱れた服を直して棚の後ろから出てきた。もう少しで大変な騒ぎになる所だった。そう思うと顔からは疲れの色が出た。阿川は何も言わずにそこで佇んでいた。俺は何食わぬ顔でアイツの後ろを通ると、一言いい放った。
「お前、度が過ぎるぞ。今度こんな場所で俺にあんなことしたら口を利いてやんないからな。少しは場所をわきまえろ……!」
そう言って一言注意するとそのまま部屋から出ようとした。するとアイツがいきなり、俺の腕を掴んできた。左腕を掴まれると、咄嗟に後ろを振り返って睨み付けた。
「しつこいぞ、お前いい加減に……!」
「葛城さんてば大人だな。俺にあんなことされたのに平然とするなんて酷いなぁ……」
「何……!?」
阿川はそう言って俺の左腕を強く掴んできた。
「ッ……!」
「ひとつ聞いていいですか?柏木さんと萩原さんとは、よく飲むんですか?」
「痛い……!離せ……!」
「質問に答えて下さいよ、俺には大事な事なんですから――」
そう言ってアイツが俺の左腕を強く掴んでくると、なかなか離さなかった。それどころか左腕はますます痛くなってきた。
「ッ……!お、お前には関係ないだろ……!?俺が誰と飲もうがお前には……!」
「関係なく無いですよ……!俺は……!」
阿川は急に声をあげるといきなり壁に両手をついて無理やり壁際に俺を追いつめてきた。真っ直ぐな瞳で見られるとその視線に息を呑んだ。間近であいつの吐息と熱を感じると、視線を僅かに反らして無言で黙った。
「葛城さんには、俺の気持ちなんかわからないですよね。今嫉妬で狂いそうになる俺の気持ちなんか…――」
「なっ……!?」
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