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「クソッ……!」
葛城さんが柏木さんと仲良く話しているのを壁越しで聞いていると、何だか急に腹が立ってきた。2人がどんな関係で仲が良いのかは俺には見当がつかないが、この苛立ちはホンモノだった。
つまらない嫉妬が俺の心を醜くさせた――。
「じゃあな、先に戻る――」
「あ、葛城まてよ」
「ん?」
「ほら、動くな――」
その声に反応すると、俺は不意に壁越しから頭を出して中の様子を覗き込んだ。すると彼が葛城さんの胸元に手をかけていた。その光景を目の当たりにした瞬間、頭の中が一気に逆上した。
「ッ……!?」
「 …あんのやろう!!」
柏木さんが葛城さんに触れていたことに頭の中が熱くなった。ついでに彼の曲がったネクタイを締め直してる姿に、俺の心は怒りでざわついた。
俺でさえしたこともないのに、あの野郎よくも抜け抜けと……!
そう思うと怒りで拳が震えた。葛城さんはアイツに警戒している様子もなかった。逆に俺がそんなことしたら間違いなく警戒するはずなのに。これじゃあ、あまりにも無防備過ぎた。そして俺は違う意味で無防備な彼にハラハラした。
「すこしは警戒してくださいよ……!」と、心の声が口から出そうになった。
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