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さっさと買い物を済ませると急いでアイツの所に戻った。すると阿川が居なかった。
「あれ? おい、阿川どこだ? おい!」
辺りを見渡してもアイツの姿がなかった。コンビニの前で首をかしげると、突然と姿を消した相手に舌打ちした。
「――まったく、あんな状態でどこにふらつきやがった! まさか車道になんか出てないだろうな!?」
一瞬、悪い予感がすると「まさかな」と呟いた。いや、もしかしたら。いや、もし――。胸騒ぎがすると慌てて近くの車道を見に行った。
『阿川っ!?』
慌てて見に行くとアイツの姿は無く、車も通って無く静かだった。「ああ、良かった…――」内心、安堵して胸を撫でおろした。あんな状態で酔っ払ったアイツが、車道に出たんじゃないかと想像した自分に呆れた。
「――クソッ、なんで俺が一々アイツのことを心配しなきゃならんのだ! クソッ! 阿川の野郎、どこ行った!?」
「あ、葛城さん!!」
「ん?」
後ろを振り向くとアイツはビニール袋を持って片手に缶ビールを持っていた。そして、飲み歩きながら向かってきた。
「どこ行ってたんですか? 急に居ないから、びっくりしたじゃないですか。それにこんな所で何を? あ、ビール飲みます?」
「おい、お前~っ!!」
アイツがビールを飲みながら話してくると俺は一気に怒りのゲージが上がった。
「お前、なに酒なんか飲んでるんだよ!? こっちはお前の姿が見えなくて心配しただろーが!」
「えっ?」
「あー、ムカついた! もう好きにしろ! 俺は帰る!」
「葛城さん、俺の事を心配してくれたんですか?」
「フン…!」
「ごめんなさい~! だって葛城さんが買い物してる間、暇だったので。俺も中でビールを買ってました!」
「お前まだ飲む気か!? いい加減にしろ!」
「はい、葛城さんも一緒に飲みますか?」
阿川は人の心配をよそにニコリと笑うと缶ビールを手渡してきた。何だかイラッとくると、俺はアイツから缶ビールを奪った。
「よこせ! まったくお前には心底呆れる。次は絶対、お前が酔い潰れても家まで送って帰ってやらないからな!」
「それはつまり次もあるって事ですか?」
「バーカ! うぬぼれるな、お前調子に乗りすぎなんだよ!」
「怒らないでくださいよ~!」
俺達は2人で並んで歩きながらビールを片手に夜風を浴びた。そして、アイツは近道ですと話すと近くの公園に立ち寄った。さすがに深夜なので公園には誰も居なかった。とても静かで鈴虫の音が草木の間で鳴っていた。不意に訪れたこの静けに、俺は隣でビールを飲みながら呟いた。
「……もう秋だな」
「ええ、季節が過ぎるの早いですね」
「ああ。そうだな」
「ん?」
気づくとアイツの手が俺の手を握っていた。
「……っ、お前。勝手に人の手を握るな!」
「いいじゃないですか、誰も今居ないわけだし。それにこう言うムードも時には大切ですよ?」
「お前なぁ…――!」
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