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アイツの部屋に入るなり辺りを見渡した。部屋は意外と広々としていて、独り暮らしで住むには十分過ぎるくらいの広さだった。どうみても俺が住んでる家よりもコイツの方が断然といい部屋に住んでいるのが明らかだった。それに部屋の中は小綺麗で汚している感じもしなかった。もう少し汚れた感じの部屋に住んでる気がしたけど、もしかしたら案外、綺麗好きなのかもと感心した。
しかしリビングの方を見るとテーブルの上だけは少し汚かった。テーブルの上には無造作にノートパソコンが置かれたまま、近くには書類や資料など、飲んだ缶ビールの空き缶がテーブルの上に転がっていて、食べたカップ麺の容器がそのまま置かれていた。そしてソファーの近くには着ていた部屋着が落ちていた。一瞬、綺麗好きなのかもと思ったが、そうでも無かった。黙って部屋の中を眺めていたら、阿川がフラフラと酔っ払った足取りで俺の方に歩いてきた。
「あ~葛城さん! バスタオル使って下さい! 濡れたままだと風邪をひくので、お風呂入って温まって下さいね!」
「ああ、すまんな阿川。バスタオル借りるぞ」
「先にお風呂に入って下さい。俺は後から入ります」
「お前がさきに入った方がいいんじゃないのか。酔っ払ったヤツに後から入られても、風呂の中で寝られたら困るしな」
「あれ? それって俺のこと誘ってますか? なんなら一緒に入ります? その方が一石二鳥ですし。それにお風呂も、けっこう広いんですよ。二人でゆったり入れるスペースくらいありますよ」
そう言って阿川がニヤニヤした顔で言ってくると、その場でアイツの頭を叩いた。
「ばっ、ばか言ってるんじゃない…――! 誰がお前と一緒に風呂なんか入るか! それこそ危険だ! お前が風呂で大人しくしてるような奴には見えないからな、俺のこと襲う気だろ!? ほんと油断もできないなお前ってヤツは!!」
「――っぷ、葛城さん可愛いなぁ。誰も襲うなんて、一言も言ってませんよ。それとも期待してもいいんですか?」
阿川はニヤニヤしながら酔っ払った口調で俺の方へとグイグイ迫ってきた。一瞬しまったと思うとアイツの前脚を蹴って言い返した。
「誰が一緒になんな入るか! 死んでもお断りだ! さっさと着替えたら寝ちまえ、この酔っぱらい!」
「酷いな~葛城さん。すぐそうやって本気にするんだから。ちょっと冗談で言っただけなのに蹴ってくるなんて。でも、そうやって真に受けて本気にする所なんかやっぱ可愛いな」
「うるさいんだよお前! さっさと着替えて来い!」
「は~い、着替えてきま~す」
「フン……!」
そう言って阿川は着替える為に部屋の奥へと消えた。俺は疲れた溜め息をすると、バスタオルを持ってバスルームへと向かった。
――ほんとつくづく油断できない奴だアイツは!
文句を言いながら脱衣所で服を脱ぐとバスルームの中へと入った。そしてシャワーを浴びながら頭を洗った。
それにしてもほんとに広いなバスルームまで。だけどガラス張りの風呂なんてアイツの趣味まるだしだ。やっぱ、変態だな。
頭と体を洗いながらアイツの″変態趣味″に呆れて溜め息をついた。こんな透けたガラス張りじゃ落ち着いて風呂なんか入れたもんじゃないな。それに、いつアイツが入って来るかわからないし――。
湯船に浸かりながら不意にそう思うと辺りをキョロキョロと警戒した。
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