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「おい、阿川起きろ! そのままだと風邪ひくぞ!?」
「ん~~!」
濡れた服のままベッドの上で爆睡してるアイツを叩き起こした。だが、阿川は完全に寝ていて起きなかった。
「――まったく、世話の焼けるやつだな!」
呆れて溜め息をつくと、アイツの着ていた服を文句を言いながら脱がした。阿川は寝息を立てて眠ったままだった。
「コイツ~酒癖悪いな、ほんと世話が焼けるな! 明日起きたら一言文句言ってやる!」
脱がした服をそこら辺に置くと、俺はキッと奴を睨んで舌打ちをした。アイツは上半身裸のまま子供みたいに無防備に寝ていた。
「ホント、ヤレヤレだな。まったく…――。」
壁に掛けられていた時計を見ると深夜2時を回っていた。コイツのせいで無駄に疲れると、あくびをして部屋を出て洗面所に向かった。歯磨きをし終えると携帯電話を持って部屋に戻った。アイツは爆睡したまま寝息を立てていた。
いざ寝ようと思ったがやはり少し警戒した。よりによってコイツと同じベッドだなんて絶対危険過ぎる。まさに襲ってくれと言わんばかりのシチュエーションじゃないか。俺は、ベッドの脇に立つと念のために確認した。
「おい、阿川! お前寝てるのか!?」
大きな声で話しかけるとアイツは「ん~」っと返事をして寝返りをうった。どうみても完全に寝てる気がした。
「ふぅ…。なんだ寝てるか…――」
無駄に神経を使うとそこでヤレヤレと溜め息をついて携帯電話の目覚まし時計をセットすると、ベッドの脇にある机に置いた。
「ん?」
机の上に小さな写真立てが飾られてあった。不意に手に取るとそれみ見た。写真立てには、俺の写真が入っていた。
「なっ…――!?」
前に社員旅行で取った写真のようだった。コイツいつの間にと写真立てを持ちながら阿川の方を見た。よく見ると写真は途中で切れていて俺の隣にアイツがいた。どうみても無理やりくっつけた感じがあった。急に顔が火照ると写真立てをもとの場所に戻した。
「……ったく、お前って奴は」
かけてた眼鏡を外すと机の側に置いた。そしてアイツが寝ているベッドに入ると近くでアイツの体温と寝息を感じた。まさか一緒のベッドに入る日が来るとは…――。
まさに人生ってヤツはわからない事だらけだ。嫌いだった奴の隣で眠るなんて前の俺じゃ想像もしなかった。こうして今、一歩踏み込む事で俺の中で何かが変わろうとしていた。
この気持ちが何なのか、この思いが何なのか、アイツの言葉を不意に思い出した。散々聞かされた言葉が頭から離れない。「隙あれば責めますからね!」コイツは一途で真っ直ぐで、その度に俺の心をかき乱す。こんな気持ちを一生、知る事も無かったのに――。″全部コイツのせいだ″。隣でアイツの寝顔を見ていると気持ちが僅かに揺れた。
「――どうした。さっき期待してもいいんですかとか言ってた癖に、俺のこと襲わないのか?」
不意に話しかけるとアイツの方をジッと見た。静かな部屋にアイツの寝息が響いた。なんだ、やっぱ寝てるかのか。一瞬、気乗りした自分に呆れると背中を向けて寝ようとした。するといきなりアイツが俺のことを抱き締めてきた。
「なっ……!?」
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