アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
*
-
―――その日、柏木と萩原と阿川の4人で仕事帰りに飲みに行く約束をしていた。元々、柏木と萩原と俺の3人で飲む形だったが、何故か阿川が柏木と話をしたらしく結局の所4人になった。そして、さらに人数が増えた。賑わう居酒屋の店内で、ビールジョッキを片手に柏木に文句を言った。
「おいおい、柏木。ありゃ、一体どう言う事だ? ちゃんと俺に説明しろ!」
ビールジョッキをテーブルの上にドンと置くと、不機嫌な顔で問い詰めた。
「何で俺と柏木と萩原と阿川で飲むはずだったのに、よりによって戸田課長も一緒に居るんだよ!?」
「シーッ! バカ、お前、声デカイ! 課長に聞こえるだろ!?」
「んなもん、知らねーよ!」
斜め向かいの離れた席に阿川と、その隣に戸田課長と、それを取り巻く他の男性社員数名と女性社員数名が居た。どう言うわけか大所帯の飲み会になっていた。戸田課長の隣で阿川は笑いながら酒を飲んで楽しく話していた。いや、むしろその場の雰囲気に馴染んでる感じだった。アイツは、そう言う所は凄かった。無難なく対応するところとか気が利くし、要領が良いタイプだった。
俺だったら戸田課長と一緒に飲み会なんて絶対断る。斜め向かい側の席で阿川は楽しげに話していた。戸田課長から酒を注がれるとヘラヘラした顔で「阿川飲みまーす!」とふざけた感じで手を上げて応えた。
アイツのお人好しの性格に呆れると、テーブルに頬杖をついて賑わっている席をジッと眺めた。柏木が隣で酒を飲みながら俺に話していたが耳に入らなかった。阿川は戸田課長のノリに合わせてビールジョッキをグイグイと一気に飲み干した。
「――まったく、あのバカ……! 何やってるんだか!」
「ん? なんか言ったか?」
「あ、いや…何も――!」
アイツが無理に飲んでるような気がして、少し心配になった。テーブルの上に置いていたタバコの箱を手に持つと口に一本咥えてライターで火をつけた。店内は相変わらず、賑やかで騒がしかった。タバコを吸いながら柏木の話を隣で相づちしながら聞いていても、目はアイツの方にいってしまう。斜め向かい側の席に居るアイツが何だか遠くに感じた。
「おい、聞いてるか葛城?」
「ん? ああ、聞いてる。向こうは賑やかだな」
「戸田課長が居るからな。みんなも媚を売るのに必死なんだよ。萩原なんか鼻に割り箸刺してお盆持ってドジョウすくいなんかやってさ。さすがにアレは無いだろ?」
柏木の話しに目線を向けると、萩原はホントに頭にタオルを巻いて鼻に割り箸を刺して課長の前でドジョウすくいをやっていた。その光景に思わず笑いそうになった。萩原のドジョウすくいで飲み会は一気に盛り上がった。それに連れてて、他の奴も一緒になってバカをやっていた。ホントにうちの部署の奴らはバカばっかりだなと終始呆れながらタバコを吸い続けた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
79 / 106