アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
*
-
「葛城さ~んっ!!」
「なっ、コラ…! いきなり抱きついてくるんじゃねーよ!?」
「だって~!」
阿川は俺の方に向かって泣きながら抱きついてきた。いきなり抱きつかれると、慌てて振りほどこうとした。
「戸田課長がさっきから酷いんですよ――!? 勝手に人のグラスにビールを注いで飲まそうとするし、継ぎ足し嫌いなのにあのタヌキオヤジがイジメてくるんです!! あれ絶対パワハラですよ!?」
「あのなぁ~。お前が嫌な事は嫌って言わないのがいけないんだろ? ビール注がれたら飲めませんって言えばいいだろ。それにお前も調子こいて一気飲みするから、周りも面白がって止めないんだろ!? 俺に言わせたらそんなのは自業自得だ!」
「葛城さん、何も怒らなくてもいいじゃないですか~!」
「それよりバカ、離せよ! 誰か来るだろ!?」
「葛城さんも戸田課長の所に来て一緒に飲みましょうよ! 貴方と離れた所で飲むなんて俺、退屈過ぎて疲れちゃいますよ~!」
「俺は戸田課長が嫌い何だよ! 誰があんな奴の所で一緒に飲むか! 酒が不味くなる、断る!」
「じゃあ、せめて近い所に来て下さいよ! 柏木さんと仲良く飲んで! 俺の気持ちなんか知らないで…――!」
「ッ、阿川…――?」
アイツは俺の事をギュッと抱き締めてくると、体が僅かに震えていた。そして、俺の肩に顔を乗せてくると小さな声で「嫌だ」と呟いた。まるで子供見たいにただをこねた。
「――あのなぁ。いつから俺はお前の所有物になったんだよ?」
そこで呆れるとアイツの背中に右手を回した。
「酔ってるのか?」
「少し……」
「あんまり無理するなよ。お前酒に酔うと手がつけられなくなるからな。見てるこっちまで心配するじゃねーか」
「えっ……?」
「いいか、戸田課長に無理やり酒を飲まされそうになったら断れよ。これは先輩としての忠告だ。何でもかんでもイエスマンじゃ、体が持たなくなるぞ。いいな?」
「葛城さん…――。ありがとうございます…! 先輩の忠告有り難く頂きますね?」
「ああ、お前は俺の大事な後輩だからな……」
そう言ってアイツの腕を振りほどくと、何気無く顔を反らした。
「いいか、とにかくここで休んでろ。お前も避難しに来たんだろ?」
「――フフフ。バレちゃいましたか?」
「ああ、俺がお前なら。あんな奴らに絡まれたら逃げたくもなるさ。だろ?」
「凄いな葛城さんは、やっぱり大人だな。何だか憧れます。ホントに何でも分かっちゃうんですね。俺の気持ちとかも…――」
アイツは傍で切ない瞳で見てきた。その視線に思わず息を呑むと、口を閉ざして背中を向けた。
「悪い、先に戻る……」
そう言って一言話すと、アイツに背中を向けたまま外に出ようとした。すると後ろから右手を掴まれた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
81 / 106