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一次会が終わると飲み会に参加した人達は次の二次会へと移動した。居酒屋の前で騒ぐと戸田課長は酔っ払った勢いで「次はカラオケに行くぞー!」と皆を誘導した。社員達も戸田課長の後をついていき意気投合した。一次会で何人かは抜けたが、まだまだ皆は元気だった。阿川は葛城の体を支えたまま、戸田課長に一言声をかけた。
「あの…戸田課長。俺、彼を家まで送ります。飲み会お疲れ様でした。お先に失礼します」
そう言って軽くお辞儀をすると、葛城を支えたまま、先に帰ろうとした。すると戸田課長は阿川に絡んだ。
「なに言ってるんだ! 阿川君が居ないと二次会が盛り上がらないじゃないか! 葛城君は柏木君に任せて一緒に行こう!」
「え、いや…でも。俺のせいですし…――」
「ちょっと柏木君! こっち来てくれ!」
「はい? 何ですか??」
戸田課長に呼ばれると、柏木は萩原と話してる所で後ろを振り向くと、一言返事をして戸田課長の所に歩み寄った。
「柏木君は葛城君の家とは近かっただろ? 彼は酷く酔ってるみたいだから、代わりにキミが家に彼を送り届けなさい。それと萩原君も一緒に彼とついて行きなさい」
「――ええ、わかりました。いいですよ課長。葛城もマトモに歩け無さそうだし、俺達が家まで送り届けます」
「え~? ボクも一緒について行くんですか? 俺も二次会参加したいです」
「葛城は俺がおんぶする。萩原、お前は鞄を持て」
「ちぇ…! じゃあ、葛城を届けたらボクも課長と合流しますね!?」
萩原は自分と彼らの鞄を持つと渋々とついて行った。柏木は阿川に交代するぞと一言話した。だが、阿川はそれを拒んだ。
「いいです。俺が葛城さんを届けるので、心配はありませんよ――!」
「阿川。戸田課長の話し聞いてないのか? 俺達が葛城を届けるからお前は二次会に出ろ。それに課長はお前が居ないと二次会が盛り上がらないと言ってるんだぞ」
「で、でも……!」
「お前が聞き分けない奴じゃないとは思うけど、二次会の空気くらい察しろよ? ほら、俺が代わるからお前は行って来い!」
阿川は気を失っている葛城の顔をチラッと見ると、表情を暗くして「わかりました……」と呟いた。交代すると柏木は葛城をおんぶして萩原に声をかけた。それと同時に戸田課長と、他の同僚が彼に「さあ、行こう行こう!」と二次会に誘導した。阿川は気になった様子で後ろを振り返ると、柏木が彼をおんぶして萩原と一緒に街の中へと姿を消した。
「葛城さん…――」
阿川は切ない表情で後ろを振り返ったまま、その姿を目で追ったのだった。人混みの中で完全に姿を消すと、深いため息をついて二次会へと参加した――。
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