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――柏木と萩原は近くのタクシーを拾うと、気を失ったままの葛城を家に送り届けに行った。そして彼の住んでるマンションについた。柏木は葛城をおんぶしたまま彼の部屋を探した。萩原は二次会の事が気になって近くでそわそわしていた。
「柏木、この部屋じゃないか?」
「――ああ、そうみたいだな。すまんが扉を開けてくれ。俺が部屋に運ぶ」
「ん? いいって、それより家の鍵はどこだ?」
「葛城は鞄の中にいつも鍵を入れてる。きっと、その中だ」
「あったあった♪ 柏木良く知ってるな?」
「ああ、たまに家に呼ばれて飲んだ時あったからな。葛城は几帳面だから大体そう言う大事な物は鞄に入れてる癖があるんだよ」
「何だ? まるで彼の事を良く知ってるって感じだな!?」
「おいおい、冷やかすなよ。葛城とは只の古い仲の付き合いなだけだ。勘違いするなよ?」
「古い仲?」
「ああ、前にも話したけど。コイツとは学生時代からの付き合いだ。まさか社会人になってから、同じ会社で勤めるとはな…――」
柏木は不意に話すとチラッと彼の顔を覗いた。萩原が玄関を開けると、柏木は葛城をおんぶしたまま、部屋の中に入った。部屋に入ると綺麗で清潔な雰囲気が漂った。そして、彼の几帳面な性格が表れていた。部屋の中はシンプルだけど、落ち着いた感じの雰囲気がある部屋だった。萩原はソファーに彼の鞄を置くと柏木に声をかけた。すると寝室に、葛城をベッドの上に寝かせて掛け布団を被せた。そして、彼を見つめる瞳が何だか優しく見えた。萩原は不思議そうに見ると、扉の前で声をかけた。
「あ、柏木。俺二次会に戻る。お前はどうる? 一緒に二次会に戻るか?」
「ん? ああ、萩原。俺は葛城の事を見ておく。もしかしたら飲みすぎて、いきなり吐くかもしれないからな」
「ああ、わかった。それじゃ、ここでお先に失礼します!」
「萩原。お前も一緒についてきてくれてありがとな、助かったよ」
「いえ、自分はとくに何も。それじゃ、この辺で――!」
萩原は彼らを部屋に置いて出て行くと、足早に二次会へと戻った。部屋の中はシンと静まり返っていた。柏木は台所でタオルを濡らすと、それを手に持って寝室に戻った。葛城は目を覚まさずに気を失ったままだった。冷たいタオルで顔を拭くと傍で静かに見守った。そして、不意に彼は傍で考え込んだ。
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