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眠っている彼にキスをするとそこで我に返った。そして、頭をかくと側から離れた。
「ン…? 柏木…――?」
「ん? ああ、目が覚めたか?」
「ここは……? 確か、俺……」
「安心しろ、お前ん家だ。お前さっき店で、酔いつぶれてから家まで運んでやった」
「…――ッ! 頭が痛む、それに気分が悪い……」
「水飲むか?」
「ああ……すまない」
「あんなに無茶して飲むからだ。みんなドン引きしてたぞ?」
柏木はそう言って話すと、水をとりにキッチンに向かった。そして水道の蛇口をひねってコップに水をいれて運んできた。
葛城は起き上がると、片手で頭を押さえて気分が悪そうにしていた。
「ン…? ああ、そうだったか……?」
「店での事覚えていないのか?」
彼からコップを受け取ると朧げに思い出した。
「ああ、そういえば…――」
その言葉にさっきのことを思い出した。
今まで他人の為なんかに〃バカな真似〃をやらないような自分が、あの時は何故かアイツの為に体を張ってバカをやらかした。
まさか、自分であんな事するなんて……。
あのあとアイツ悲しそうな顔で俺の名前を呼んでいたな…――。
「葛城!」
「ん…?」
「お前、ぼーっとしてたぞ?」
「ん、ああ…すまない。ちょっと思い出してた」
「なあ、信一……」
「え…?」
柏木は彼の顔をジッと見つめると、不意に肩に触れた。普段とは違う別の視線に一瞬、息を呑んだ。
「お前が阿川の為に体を張るなんて驚いたぞ。前のお前なら、あんなバカな事はしなかっただろ? なのに一体、どうしたんだよ。あんな事するようなお前じゃないだろ…――」
「そ、それは……」
真剣な表情で見てくる彼に戸惑うと不意に視線を反らして、質問に戸惑いを見せた。
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