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「違うんだ阿川、今のは本当に俺が…――」
『あ〜っ!!』
「ん…?」
アイツは目の前で突然、大きな声を上げて全身を震わせた。そして、青ざめた顔色で詰め寄ってきた。
「これは一体、どう言う事ですか葛城さん……!」
「は? 何が……?」
「なっ、なっ、何で胸元のボタンが開いているんですか……!?」
「え?」
俺の前で阿川はガタガタと震えると、人差し指を向けて顔を強張らせた。まるで信じられ無いものを見てしまった時の驚きに近かった。
「あああ、そっ、それに何だか、髪型とか乱れてませんか……!?」
「はっ?」
「う、嘘ですよね、葛城さん……! 貴方と言う人がそんなはず……! だって今さっき柏木さんとは只の『お友達』だって言ったじゃないですか!」
「おい、さっきから一体何が言いたいんだよ!」
『もしかして彼と寝たんですかっ!!』
「なっ…――!」
その瞬間アイツが大きな勘違いをすると、俺は顔が一気に真っ赤になった。余りにも話がぶっ飛び過ぎて、思わず声を上げて動揺した。
「なっ、何言ってるんだお前っ!?」
「ごめんなさい! ちょっとだけ貴方の体を拝見させて頂きますっ!!」
「わっ…! なっ、お前、何する…――!?」
いきなりワイシャツをグッと掴んでくると、両手でガバッと開いてきた。その瞬間、前のボタンが勢いよく弾け飛んだ。
『ぎゃあっ! 何するんだこのやろぉ!!』
急に服を脱がされると思わず焦った。すると、アイツは目の前でジーッと首筋と胸元辺りを見てきた。その眼差しは何かを確認するような真剣な目つきだった。
「あー、良かったぁ! 何も付いてなかった!」
『はぁっ!?』
ワケも分からずに服を脱がされたので、呆然と立ち尽くしていた。阿川は俺の前で何かを確認し終えると今度は抱きついてきた。そして、わんこのようになついてくると、頬を擦り寄せて喜んでいた。
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