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自信はなくたって、たとえ間違たって、
答えを言ってみる勇気が大切なんだってサンタ先生が教えてくれたもん。
手を挙げたボクに気が付くとあこ先生は嬉しそうににっこりと笑ってくれた。
「はい、海くん」
ボクはそろり・・・立ち上がる。
「…えっとぉ…あったかくなって…みんな…注意しなきゃいけないこと…ぽつん…出来ないようにすること…?」
あこ先生の茶色い眉毛がぐいっと持ち上がった。
「・・・・ぽつん?
ごめんね海くん・・・それは何かな?」
あこ先生、ぽつん知らないのかな?
そういえばあこ先生はいつもつやつやすべすべのお肌で、ぽつんが出来てるところなんて1度も見たことない。
「…ぽつん…あっつくなって…汗、かくと出来ます……赤くって…かゆくって…とっても大変…お薬ぬりぬり…しなきゃ…治りません…ボク…おでこ…出来ました……それから…」
・・・・・・お尻にも。
これはお胸の中でひっそり呟く。
あの時は廣瀬さんに見られるのが恥ずかしくって、お風呂も1人で入ってたんだよ。
早く治したいからパンツを履かないでいたのが廣瀬さんに見つかって、けっきょくは呆れられちゃったんだけどね。
それはとっても楽しかった去年の夏の、
たった1つの哀しい思い出だった。
「あぁ、もしかしたら海くんが言ってるのは『あせも』のことかな?」
「…そう!!…ぽつん『あせも』…廣瀬さん…そう呼んでました…」
「せんせー、俺の妹もあせも出来てたぜ」
しょーたくんがそう言ってから、にやりとちょっぴり意地悪に笑って付け足す。
「・・・・まだ5歳だけど。
お子ちゃまの海となら、同じあせも仲間で気が合うかもなー」
「…ボク…お子ちゃま…違う…半分、お兄さん…」
今日の朝だって、こんこんぱっかんのお手伝いが100てん満点で廣瀬さんに褒められたばっかりだし、
大きい先生に測ってもらったら背だって5ミリも伸びてたんだよ。
それに…みんなは知らないけど、おうちに帰ればうみの面倒だってちゃんと見てあげてるんだから。
帰るとすぐにお膝の上にのっけて、頭からしっぽの先まで優しく撫で撫でしてあげるの。
『うみぃ、ちゃんとお留守番出来て偉かったね、いい子いい子』って。
「けど半分は大人でも、あとの半分はお子ちゃまだろ?」
ボクはぷぅ~っとほっぺを膨らませ、とびっきりの怖いお顔でしょーたくんを睨みつけた。
「ほ~ら、やっぱその顔、どっからどー見てもお子ちゃまじゃん」
ボクの怖いお顔なんてなんのそのでけらけら声をあげながら、
しょーたくんは楽しそうにボクを指さし笑う。
「コラしょーたー、いい加減にしろー。
せっかく海くんが真面目に答えてるんだから茶々いれるな。
それに、茶化してばっかりいるといつまで経ってもあこ先生の話終わらないぞ」
見かねたみたいにそれまで黙ってあこ先生の後ろでお話を聞いていた大きい先生が、お胸の前で腕組をしてしょーたくんを睨みつける。
大きい先生って普段はとっても楽しくて優しいんだけど、怒るとすっごく怖いんだ。
でもね、怖いお顔で怒ったあとは必ず仲直りの握手をしてくれるの。
あったかくって分厚くって、ちょっとごつごつした手でぎゅっと握って貰うと、すぐに分かるんだ。
大きい先生は意地悪で怒るんじゃなくって、みんなのことが心配だから怒ったんだって。
それが分かるから、みんなどんなに怖いお顔で怒られても、
しょーたくんみたいにおしりぺんぺんされても、大きい先生が大好きなんだよ。
「・・・あこ先生、続けてください。海くんも座って」
「…はい…」
ボクはお隣のみのりくんを飛び越えしょーたくんの方にお首を伸ばし小さな小さな声で、ごめんねと呟いた。
ボクのせいで大きい先生に叱られてごめんね、と。
あこ先生のお話も聞かずに言い合いをしていたのはボクだって一緒。
しょーたくんだけが悪いんじゃない。
・・・それに怒りんぼしてほっぺをぷくーって膨らませた姿じゃ、たしかにしょーたくんの言う通り立派なお兄さんとは言えないもん。
ボクのごめんねが聞こえたのか、しょーたくんは目が合うとちょっぴり恥ずかしそうに…だけどはっきり分かるくらいしっかりと、白い歯を見せにっと笑ってくれた。
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