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廣瀬side ※生ぬるい性描写有り
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濃紺の空にぽっかり浮かんだ歪な月。
カーテンから差し込む頼りない月明かりに照らされ横たわる海は、生気の失せた表情でもう長いこと痛みに顔をゆがめている。
それでも痛いか?と聞けば、
下手くそな強がりを繰り返すだけ。
「・・・うみ・・・痛い?」
「…へーき…ボク……だい…じょぶ…」
ほらね。
俺の問いに一瞬だけ青白いほっぺたを揺らし、健気な仔猫は力なく首を振って見せた。
もう何分こうしているだろう。
あと少しという所で海の内部は俺を拒み、俺自身をギリギリと締め上げる。
・・・痛くないわけねーよ。
俺でさえ海の内壁に締め付けられ、引きつれるような痛みがしばらく続いているのに。
「・・・ごめんな、もう少しだから」
それまで細い腰を支えていた片手を外し額の汗を拭ってやった俺に、海は苦悶に満ちた表情で首を振る。
「…違う…廣瀬さん…ごめんなさい…違う…」
「・・・ん?」
「……ごめんなさい、ボク…上手…出来なくて…ごめん…なさい…」
辛い思いをさせている俺に平気と強がり、
そればかりか上手く受け入れられない自分が悪いと詫びる海。
・・・・どんだけ健気なんだよ。
海の内部で膨張した俺自身は久々に味わう快楽に歓喜し、これ以上ない程パンパンに張り詰めている。
今すぐにでもイケそうなくらい張り詰め歓喜するソコと、
それとは逆にこんな苦痛を与えなければ1つに繋がれない事実が、普段は目を背けているけど自分たちの関係が不毛なものだという現実を嫌という程はっきりと突きつける。
だからって、もう後戻りなんて出来ないんだ。
どんなに苦しめたって俺たちはもう後には引けない。
苛立ちなのか僅かな迷いなのか、一瞬頭の中がトリップした弾みでそれまで海の負担を考え慎重に腰を進めていたはずの俺の動きが無意識に激しくなっていた。
「・・・う・・あッ・・・!!」
「わるい、海っ」
色素の薄い眉が歪み真っ赤な唇から悲痛の声が漏れ、小さな手が震えながら俺に向かって伸ばされた。
縋り付くように伸びた指先にそっと俺自身の指を絡ませた瞬間、それまで強ばっていた海の表強が緩む。
あぁ、あの時と一緒だ。
初めて会った日。
俺に伸びた手を訳も分からず掴んだあの時。
ずっと伸ばされた手を掴み取ったのは俺だと思っていたけど、
本当は見えない蜘蛛の糸に絡め捕られるようにあの瞬間俺の方がこいつの存在に捕らわれてしまったんだ。
あの日からずっと、
きっと永遠に。
だからもう、後戻りなんて出来ない。
「…仲良し…あくしゅ…廣瀬さんの手…大…好き…」
「・・・俺もおまえの手、好きだよ」
細くて白くて頼りなくて、誰より繊細な指。
不器用だけどいつだって真っ直ぐに俺へと向かって伸ばされる、この手。
白い指先にそっと口付けると、青白かった海の頬にサッと赤みが差す。
動きを止めた今もまだ引きつれるような痛みは続いていた。
それでも海は俺が指先に口付けたたったそれだけで、心底幸せそうに微笑んでくれる。
「・・・うみ、動いていい?」
赤く染まった頬のまま、海は恥ずかしそうにぎこちなく頷く。
「…もう少し…?…もう少し…1つ…なれる?」
「ああ、もう少しだ。もう少しでちゃんと1つになれるよ」
繋がった部分からジワジワと溶け合い、長い長い時間をかけてやがて1つになる俺たち。
痛みも快楽もそこにはたった1つしか存在しない。
たった1つのそれを、俺たちは2人で共有するんだ。
「…ボク…廣瀬さんと…1つ…なります…」
いつもぼんやりとした海にしてはやけにしっかりとした意思表示で深く頷き、
俺の手を握る指先に力が籠もる。
その手を握り返し空いたもう片方の手で細い腰を支えた俺は、小さな体に覆い被さるようにして動きを再開させた。
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