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廣瀬side ※生ぬるい性描写有り
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「…ひろせさん…だっこ…だっこ……」
甘えた声でそうせがまれ、けっきょく繋がったままいつもの体制でベッドの中央に座り込んでから数分。
やっと痛みにも慣れトロンとした表情で背中を丸めて小さくなった海は、
さっきからずっと俺の腕の中でジッとしている。
「海、痛くないか?」
「……はい」
コクコクと頷く海の穏やかな表情はさっきまでの緊張感が嘘みたいに和らいで、まるで今にでも眠ってしまいそうに見えた。
「・・・おまえはホント赤ん坊みたいだな」
苦笑混じりに汗ばんだ額を拭ってやる。
「…あかん…ぼう…?赤ちゃん…?」
おっと、これは失言。
目をまん丸に見開きハッとした顔で見上げられ、俺は慌てて首を振って付け加えた。
「・・・赤ちゃんみたいだっていーじゃん。
俺もおまえとこうしてんの好きなんだから。こうやってるとすげー落ち着くしな」
汗で湿った海の髪はシャンプーの香りと、それよりもっと強い海自身の甘い香りがする。
柔らかいくるくるの髪に鼻先を埋めていると、ひどく落ち着くのは事実だ。
「…廣瀬さん…だっこ…好き?」
「んっ、好きだよ」
・・・おまえ限定だけど。
窓辺で微睡む仔猫さながらに俺の腕の中で安心した表情でくつろぐ海を見ていると、
なんていうか…こいつは無条件に俺を受け入れてくれてるんだなーってホッとするんだ。
それと同時に、俺と出会うまで怯えるか全身の毛を逆立てて他人を拒絶することしか知らなかったこいつが、
今は違うんだと思えて優越感でいっぱいになる。
「…うふふ…ボクもだっこ…大好きです…」
それも、俺限定だろ?
とろけるような海の笑顔に満足しつつ、大好きな髪に口付ける。
こうしてセックスの合間にピタリと体を合わせ、何気ない会話を交わしている時間が俺はこの上もなく好きだった。
あっつくなった心と体が少しずつクールダウンして、後に残されるのはじわ~っと体内に染み込むような心地良さ。
真冬の凍えた体で温泉に漬かったあの一瞬にも似た、ただひたすらに穏やかな安らげる時間。
最初は海を落ち着ける為にしていたこの行為も、今はそれだけじゃなく俺自身にとってかけがえのない物になっていた。
「…とっくん…とっくん…とっくん……廣瀬さんのお胸の音…聞こえます…」
夢見るように海が言う。
「・・・俺の心臓の音、うるさい?」
「…うるさい…違う……とっても…優しい音…します。
……ボク…大好き…」
なんでこいつはこんなに幸せそうに笑えるんだろ。
真っ暗闇にちっちゃい電球がポツンと優しく灯るようなそんな笑顔に、理由もなく胸の中があっつくなる。
あー、このまま…2人繋がったまま、眠ってしまえたらいいのに。
いいや、寝るだけじゃない。
起きてる時もずっと、
四六時中絶え間なく海と繋がってられたらどんなにいいか。
好きとか愛しいとか、そんな事を意識する前に俺の中にすっかり根付いてしまった海の存在。
うふふ…腕の中で小さな笑い声が響く。
ツンツンと何か引っ張られる感覚に見下ろせば、俺の胸にぶら下がっていたチェーンの先っちょ…シルバーリングを細い指が弄ぶように摘んでいた。
それは海の誕生日に俺がプレゼントした2人お揃いの指輪。
・・・当の本人はこのプレゼントに込められた本当の意味に気づきもせず、
未だに指輪じゃなくネックレスだと思い込んでるみたいだけど。
「…廣瀬さん…毎日…つけてます…ボクと一緒…おそろい…です…」
海は誇らしげに自分の胸に下がっていた俺のより一回り小さい指輪を掲げてみせる。
それだけでは飽きたらず、自分の指輪と俺の指輪をチンチンぶつけてはご満悦だ。
「んぁー、ちゃんと毎日つけてるぞぉ」
・・・っていうより、あの日から着けっぱなしで1度も外してはいない。
風呂に入る時も、寝る時も、もちろん仕事の時だって、俺の胸には海とお揃いの指輪がいつも輝いていた。
幸か不幸かアクセサリーとしてあまりに自然すぎるのか、
これ程毎日堂々と着けているにも関わらず、まだ誰にも突っ込まれていないけど。
「…ボクも…毎日…ちゃんとつけてます…仲良しのお守り……ボクの宝物…」
そりゃーおまえだって俺と同じで1回も外してないもんな。
ってかこいつ・・・
「いったいいくつ宝物あるんだよ」
俺のあげた腕時計に、家の鍵。
水彩色鉛筆に、小さな猫の置物。
尊くんとお揃いのストラップに、陣のお土産のターコイズのブレスレット。
親父に買ってもらった巨大ぬいぐるみ『うみ』に、陣が持ってきたチョコのこ洒落た空き箱に、
果てはあこ先生にもらった何の変哲もないリボンに・・・。
他にも海の宝物はまだまだたくさんある。
物を大切にするのはいいことだけど、一見ガラクタにさえ見えるソレと俺の覚悟と決心がぎっしり詰まったプレゼントを一緒にして欲しくないんだけど。
海には全然伝わってねーみたいだけど、これ一応プロポーズのつもりであげたんだよ?
一生一緒にいような・・・って。
誓いの指輪にしては新幹線の中で渡すな~んてムードには欠けてたけど、
この指輪にはそれ相応の想いがしっかり込められている。
「…宝物…たくさんたくさん…あります……廣瀬さんのプレゼント…全部ボクの宝物…です…」
ペンダントヘッドの指輪を握りしめた小さなこぶしを、とろけるような極上の笑顔で見つめる海・・・
この顔を見ちゃったら俺はもう何も言えない。
これも惚れた弱みか。
仕方ねぇ、このプレゼントの本当の意味におまえが気付くまでいつまでだって待ってやるよ。
・・・けど、そん時は絶対NOとは言わせねーぞ。
「・・・うーみ」
放っといたらいつまででも黙って手の中の指輪を見ていそうな海の顎を捉え、半ば強引に上を向かせる。
窓から差し込む濃紺の空と頼りない月明かりに照らされて曖昧に浮かぶ海の不思議そうな表情にちょっとの間見惚れた俺は、ゆっくりと瑞々しい果実みたいな唇にキスをした。
緊張を解すように強ばった背中を何度もさすり、そっと舌を挿し入れる。
逃げる舌を追いかけ優しく擦り、その味を…その感触を、堪能する。
不器用な追いかけっこがしばらく続き、慣れないながらも必死で俺に応えようと舌を伸ばす海が愛しくて、
苦しめるだけだと知りつついつしか夢中で海の口内を貪り始めていた。
ピタリと体を合わせ、
舌を絡め、
海の中には俺がいて、
もうこれ以上ない程俺たちは1つに重なり合っているはずなのにそれでもまだまだ足りなくて、
がむしゃらになってキスをする。
「─────ん・・ッンン・・・」
喉の奥から狂おしい程の甘い吐息が洩れ聞こえた。
それと同時にキツく締め付けられ、既にめいっぱい膨張していた筈の俺の芯が更に海の奥で体積を増す。
背中に回された手で何か訴えるようにトントンと叩かれ、ようやく我に返った。
「・・・悪りぃー・・・大丈夫か?」
たかがキスに我を忘れた事への照れと、海を思いやる余裕を失いつつあった事への申し訳ない気持ちとで低く呟いた俺に、健気な仔猫は苦しそうな表情で首を振る。
「…だいじょぶ…違う……」
静まり返った室内に震えた声が響く。
「…だいじょぶ…違う……」
繰り返し言った海の顔は月明かりの中でも分かるくらい真っ赤に染まっていた。
「…ボク……ボク……苦しい…です…」
声と言うよりもう殆ど吐息のような弱々しい訴えに導かれ視線を降ろせば・・・小さくもパンパンに張り詰めた海の芯がふるふると震えていた。
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