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バレンタイン 9 ~朔馬&奈都 高校編~
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奈都は咲から、チョコレートの板を買った。
「…チョコレートの板を渡すしか、出来ないけど」
そう言うと、咲が考えてくれた。
「奈っちゃん先輩、食堂で牛乳をコップの量ぐらいでもらって来て…チョコレートドリンクを作るのは、どうですか?」
「チョコレートドリンク?」
「そっか、チョコレートを牛乳で溶かすだけだから」
愁が教えてくれる。
「それなら、時間がなくても電子レンジで温めるだけなので…」
電子レンジは、特待生以上の部屋には必ず部屋にある。
奈都はAランクの生徒会役員の部屋に住んでいるので、もちろんあった。
「そっかー!」
今までで、バレンタインのチョコは固形のお菓子と思っていたが…チョコを使っていれば何だって良いのだ。
そう考えたら、何だか簡単に思えてきた。
「ありがとう、咲姫!」
咲が全校生徒にチョコを配った後にでも、食堂に行って牛乳をもらおうと思った。
奈都は、やっと心が軽くなった。
咲が、姫として全校生徒にチョコを配るイベントが始まった。
最初の方で、茉莉が颯人に対して公開告白をして司会は自分に代わって続ける。
お願いされていた事なので、苦にならない。
その2人を見送り、生徒の中での告白タイムをきちんと公平に行うために、あえて咲に順番をくじ引きさせる。
(さすが、元生徒会長の茉莉ちゃん)
これは混乱を防ぐために、事前に茉莉が考えた事だった。
そうする事で、文句を言う人はいない。
咲の人気は、凄い威力を発揮したのだった。
こうして、騒ぎが起こる事もなく無事にイベントは終わった。
奈都は慌てて周りを見て朔馬を探し、掴まえた。
「朔…先生!これから、時間…あり、ますか?」
「うん、あるよ」
息を切らせながら言う奈都に、朔馬は微笑んだ。
「30分後に、俺の部屋に…来て…」
最後はゴニョゴニョと小声になるが、朔馬は頷いた。
「30分後ね。わかったよ、奈っちゃん」
その返事に奈都は、これから作るチョコレートドリンクが上手くいく気がした。
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