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ここはゲイバーでもないし…むしろこの時間帯、女性客の方が多い。
なのに、なんで俺?
あと、聴いたって言われた様な気がするけど…
まあ、翼くんは別に噂なんか流さないだろうし、カウンターで堂々とこんな事喋ってれば普通に他の人に聞かれちゃうか。
「元恋人は男だったけど、別に根っこからゲイって訳じゃないよ」
「ふーん。ま、そんなのはどうでもよくて。おにーさん名前なんて言うの?」
「……前田だけど」
「下の名前は?あ、俺は坂井タク。タクって呼んでね〜」
元気な元気なタクくん。
それが本名かどうかは知らないけど、まあ、多分本名かもしれない。
男相手にこんな慣れた誘い方をするんだから、初心者じゃないんだろうね。
俺はもっと静かに飲みたかったかも。
「鳴海」
「え…?前田じゃなかったの?」
「いや、だから前田鳴海」
何故かどっちも苗字っぽくて自分はあんまり気に入らない自分の名前。
それを聴いて大笑いしてるタクくんは本当に…なんていうか、若いと思う。
失礼かもとか考えないで済むんだからね。
「んじゃ鳴海さん…ってかなんか下の名前で呼んでる気がしねえな!」
「名前についての文句なら親に頼みたいくらいだよ」
まだ笑ってるタクくんに少し呆れながら、もう一人のバーテンダーさんにウィスキーのおかわりを貰う。
医者として一年経った後、あの人はアメリカに行くと俺に言った。
あの人のご両親も医者で、理由は聞かなかったけどご両親もアメリカに住んでるって事は知ってた。
だったらアメリカに行ってもあの人は大変な想いとかしないだろう。
その時の俺は、そりゃ寂しかったけど
『戻ってくる?』
『うん。いつ戻るかまだ言えないけど、戻ってくるよ』
そう言ってくれたから涙流しながらもさようならを言った。
別に浮気するんじゃないか?とかそういう心配はなかった。
ただ、そばに居なくなるのが寂しくて悲しかったけど、愛し合ってるから別に平気。
そう、思ってた。
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