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「東西、東西~さて、本日お目通りひかえましたるこの坊主、親の因果が子に報い~………………………」
今日も、小屋の外からお決まりの口上が聞こえる。
僕は唄を唄うことを止め、代わりに男に体を開くことを見世物とした。
相手は日によって替わる………初めの頃は小屋の男衆が持ち回りで相手をしていたのが、僕が人気になるにつれ主人がこのままでは勿体ないと、一計を講じた。
僕の体を競売にかけ、一番高値で競り落とした者に翌日の挿入権を与え、抱く様子を客に見せながらまた競りをする………ようは売春だ。
勿論そんなことは犯罪だが、バレなければ関係ないし、幸か不幸か僕は連日高値で売れた。
一般の庶民はそれをただの男同士の性行為を覗き見る見世物と思い、裏では金持ちの酔狂人が翌日僕を抱く為に大金を賭けて競りに興じる。
時には小屋での売春行為に目を瞑る対価として、警察官が僕を抱いた。
丁度タイミングも良かったのだろう。
明治5年に『鶏姦律条例』が発令され、これが消滅する明治15年まで男同士のセックスが法律によって禁止されており、これに違反すれば刑事罰が与えられた。
折しも西洋文化が日本に怒涛の勢いで流れ込むと、その思想も多大な影響を受け、これまで日本では普通に行われていた男色………即ち男同士のアナルセックスは異端視されるようになる。
だからこそ、客は僕の………男同士のセックスを見たがり、僕を抱きたいという者は後を絶たなかった。
人は禁忌に惹かれ、禁忌を犯したがる。
『してはいけない』と言われたことはしたくなるし『見てはいけない』と言われれば見たくなる。
僕の見世物は小屋一番の名物となった。
こうして3歳で人から見世物小屋の商品となり、13で男ながらに女のように抱かれ、15となったばかりの頃に………………僕は男娼に成り果てた。
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