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「今日はアップ取ったら種目別に分かれる。長距離、中距離はロードワーク、短距離は50mダッシュエンドレス、高跳び、幅跳び、砲丸はそれぞれの課題をこなすように」
そう部長の戸倉さんに告げれアップに入る。
ランニング、ストレッチで筋肉をほぐし、身体を温める。
「秋月行くぞー!」
緒方さんと共に体育倉庫へ向かう。
蒸し風呂と化した薄暗い倉庫から用具を引っ張り出す。
「早く合宿始まんねぇかな。タータンで跳びたい!」
「そうですね。タータントラック久しぶりです」
「あのゴム感がたまんないよな!」
「……ゴム感?」
「ビヨンビヨンってさ!まあ校庭のサクサク感も好きだけど!」
「はぁ…」
スパイクのピンが刺さった地面の感覚の話なのだろうが、表現の仕方がさすがの独特っぷりだ。
朝日がじりじりと照りつける。
倉庫から用具を引っ張り出す作業だけでも、汗が滑り落ちる。
「秋月先に一本跳んでみ?」
用具のセッティングが終わると、緒方さんにそう促された。
身体は十分温まった。
ストレッチをした感じ、調子も悪くなさそうだ。
頷き、助走開始位置へと移動する。
その場で軽くジャンプをする。
スパイクもいい感じに足に馴染んでいる。
軽く息を吐き、越えるべき目標を見据える。
グッと一歩踏み出す。
徐々にスピードを上げ、右足で踏み切る。
最高跳躍点。
その刹那重力から開放され、目に映るのは雲一つない青い夏の空。
それだけ。
再びの重力により、身体はマットへと吸い込まれるように落ちていく。
「おー!秋月やっぱり綺麗に跳ぶよなー!」
少し離れた位置で自分の跳躍を見ていた緒方さんが、笑顔で近寄って来た。
マットから起き上がる。
「緒方さん程ではないです」
「あ、可愛くねーの」
ぷくりと頬を膨らませた。
男子高校生に可愛さを求めるのはどうかと思う。
が、口にはしない。
「そんじゃ、次は俺が跳ぶかな」
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