アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
9
-
とくりと胸が高鳴った。
この人が飛ぶ前はいつもそうなのだ。
何度も目の前で見てきた。
それでもまた何度でも、この人の跳ぶ姿が見たくなる。
肩をグルグルと回す。
靴紐を結び直し、ジャンプを三回。
深く息を吸い込み、ゆっくりと目をつむり、ゆっくりと開ける。
先程までの騒がしい雰囲気はどこにもない。
瞳の色さえ変わったのではと思える程、研ぎ澄まされた視線を進行方向へ向ける。
走り、跳ぶ。
180cmを越えた長身の身体が、まるで翼があるかの如く、重力などものともせずに跳ぶ。
このまま二度と地上には降りて来ないのではないかと思う。
魅入られて、どうしようもない。
そして地に足をつけた彼は、またいつもの通りの賑やかな笑顔を向けるのだ。
「見た?見てた?どうだった?」
「凄かったです」
「なんかこうもっと!具体的に!」
「具体的にと言われましても…」
彼の跳ぶ姿を形容するのに相応しい言葉が見つからない。
綺麗とか、美しいとか、凄いとか。
それ以上の言葉を見つけ出せない。
「まぁいっか!俺はちょっと歩幅調整すっかな。秋月は?」
「俺はもう少し柔軟やります」
「オッケー。背中押してやるよ」
「や、遠慮します。緒方さんに押されると痛いので」
「なにをっ?!来い!グイグイやってやる!」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
10 / 1191