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リビングにはカレーの匂いが立ち込めていた。
「今日カレーなんだ」
キッチンで洗い物をしていた母が、ピタリと手を止めた。
「あなたそれ、さっきも言ってたじゃない」
「……え…」
呆れたような、不可解だとでも言いたげたな母の視線から逃げるように、風呂場へと向かう。
シャツを脱いだ時、ふと洗面台の鏡に写った自分の姿が目に止まった。
日に焼けた肌。
緒方さんよりは低いが180cmに近い身長。
ガッシリとはしていないが、それなりに筋肉のついた胸板。
(俺どっからどう見ても男だよな?)
顔立ちだって、決して女らしくなどない。
先程の母と同じ表情をしている自分に気づく。
母親似だと言われるだけあって、同じ表情をするとやはり似ていると再確認せざるを得ない。
(……やめよう)
そう決めて風呂に入り、カレーを食べて自室に戻る。
早々にベッドに潜り込んではみたものの、予想通り寝付けない。
とりあえず明日、どんな顔で会えばいいのかを考える。
おもむろに避けたりすれば、膝でも抱えて座り込みかねない。
感情に正直な人。
子供のような人なのだ。
自分とは全くタイプが違う。
お互いが陸上をしていなければ、例え同じ学年で同じクラスにいたとしても、話す事すらなかったかもしれない。
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