アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
17
-
残るは二人。
いつの間にやらギャラリーと化したクラスメイトは、体育の授業にしてはレベルの高い跳躍の応援に夢中になっている。
先に跳んだバレーボール部のやつがカランと音を立ててバーを落とし
「これを越えれば充の勝ちだな」
と悔しそうに笑った。
思わず笑い返したが、元々勝負ではないのだから勝ち負けではない。
クラスメイトがあまりに必死に応援をするから、その雰囲気に飲まれていたのかもしれない。
これまでに何度か跳んだ感覚を元に、なんとなく助走の位置を調整する。
知識もなにもない。
本当にただの感覚だ。
今までよりも少し距離を取る。
走り、跳ぶ。
踏み切り直後、思っていたよりもバーが高い位置にある事に気づく。
(まずいか…)
思わず身体を反らす。
バーに触れないように、それだけ。
ふと、視界いっぱいに青が広がった。
それはほんの一瞬であった。
ただ、青い空だけが見えた。
ドサリとマットに落ちる。
もう一度空を見上げる。
同じように空が広がっていた。
わっと歓声が上がった。
ゾクリと身体が震えた。
授業が終わるとそのまま体操着を着替えもせず、陸上部の顧問の元へ行き、種目を高跳びに変更したいと申し出た。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
18 / 1191