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そうしてほぼ三年間、高跳びを続けてきた。
ただただ空の青さに夢中になった。
二年生で関東大会にまで行った。
だがその後はどんなに努力をしても、記録は伸びなかった。
「好き」を原動力とした努力に限界を感じていた。
そうして迎えたこの記録会。
屋根のない競技場は真夏の太陽が容赦なく照りつけ、じりじりと肌が焼かれていくのが分かる。
高校生の跳躍が始まった。
高校生というのは、身長とは別になんか大きい。
肩幅とか筋肉の付き方が自分とは違う。
ある選手が跳躍の準備に入った時、一際大きな歓声が沸いた。
200mで凄い記録でも出たのかと、顔を上げる。
が、周りのみんなの視線が自分とは違う方向を向いているのに気づく。
視線の先にいたのは、鋭い目つきでバーを睨みつける、一人の高跳びの選手だった。
どこからともなく、手拍子が起こる。
靴紐を結び直して身体を起こすと、ゆっくりと深呼吸をして目を瞑った。
助走を開始。
それに合わせて手拍子が早くなる。
跳んだ。
力強く地面を蹴り上げ、その力強さとは正反対とも思える程、しなやかに跳んだ。
軽やかにバーを越え、マットに降りてきた。
落ちる、という表現は似合わないと思った。
美しかった。
まるで一枚の絵画でも見ているかのような感覚に囚われた。
起き上がったその選手は右手を上げ、先程の鋭い目つきからは想像できない満面の笑みで声援に応えた。
漆黒の髪が真夏の太陽を反射して、キラキラと輝いていた。
一筋の汗が頬を伝う感覚で、はっと我に返る。
呼吸を忘れていたのかもしれない。
息苦しさを感じた。
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