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結局、どんな顔で会えばいいのか分からないまま朝を迎えてしまった。
昨日の今日だ。
緒方さんと二人きりになるのは極力避けたい。
入るタイミングが掴めず部室の手前で立ち止まる。
普通にドアを開けて、普通におはようございますと言って入って行けばいいだけなのに、身体がいう事をきかない。
「えっ?!マジで?!」
部室の中から声が聞こえる。
田沼さんだ。
「マジ!これ伊達メガネ!」
「ちげーよその事じゃねーよ!てかなんで井上はいきなり伊達メガネしてきてんの?!」
「空気とか読めるようになるといいな」
「山梨なに言ってんだ?空気は読めないだろ。無色透明じゃん」
「おい緒方…それ本気で言ってるのか?」
「え?なにがよ?」
「兄貴の黒いサングラスがかっこよかったから、俺も同じの欲しくて買ってきた!」
「黒いサングラスがどうして伊達メガネになった?!もうどうでもいいけどな!」
「それはだな、このネジ」
「いやどうでもいい!」
「そんな話してたんじゃないよね」
話しの内容は置いておくとして、三年生はほぼ部室内にいるようだ。
これで緒方さんと二人きりという状況はなくなった。
いつもの漫才状態になっているし、なっているからこそタイミングは難しいが、もう意を決して入るしかない。
ドアノブに手を掛ける。
「秋月かわいそ…」
(ん?)
山梨さんの声にドアノブを掴んだ手が固まった。
「部活辞めちゃうかもよ。気まずいでしょ」
(ああ…)
察してしまった自分を恨む。
恐らく、というか確実に、緒方さんが昨日の事を話したのだろう。
ますます気が重くなる。
「だってよー…秋月が告白されてるの、偶然見ちゃったんだもん…」
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