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「秋月?早く着替えねぇと遅れるぞ?」
「ぅおっ!」
「マジか!」
「え?なにが?」
渡辺さん以外の三年生が揃った動きで一斉に緒方さんを見た。
山梨さんと田沼さんに至っては、ナイス緒方!とでも言いたげに親指を立てて拳を握った。
「あ、はい…」
(緒方さん…普通だ…)
今まで告白というものを何度かされた事がある。
でも自分は他人に興味を持ちやすい人間ではないし、何より部活に精一杯で他のことに気を向ける気にすらならなかった。
断った後はいつも気まずい雰囲気になる。
廊下ですれ違っても相手から不自然な程に避けていく。
元々仲の良い女子がいる訳ではなかったから特に気にはしないが、相手から気まずい雰囲気が伝わってきた。
そういうものだと思っていた。
緒方さんからの告白を、まだ断ってはいない。
ただ好きだと、特別な感情があると伝えた相手と普段通りに接する人も初めて見た。
(普通なのはやはり、緒方さんが普通じゃないからだろうか…)
「おはようございまーす!秋月さん?入り口で固まってどうかしましたか?」
背中から明るい声がして振り返る。
一年生の柴田(しばた)だ。
「いや、なんでもないよ」
「そうですか?今日もよろしくお願いしますっっ!」
「うん、よろしく」
「あっ井上さん!メガネかっこいいっすね!」
「だろ?!魅力について詳しく聞きたいだろ?!」
「いえ!別に!全く!」
「柴田…」
その後続々と入室してきた部員により部室は埋め尽くされ、上手い事その人波に紛れて、何とも居た堪らない雰囲気から抜け出せた。
部活が始まってしまえば、各々競技に集中する。
テストで悪い点数を取ったとか、友達と上手くいっていないとか、そんな事も全て忘れてグラウンドを走る。
例え普通ではなかろうが、あの人と同じ空を見てみたくて毎日必死になっていた。
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