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朝練を終えるとすぐに授業が始まる。
今日は数学や現代文など、集中力が求められる時間割りのオンパレード。
二年生の成績は進路にも影響するため手を抜く訳にはいかない。
四時間目の世界史の授業が終わると、クラスの雰囲気が一気に明るくなる。
昼休みだ。
「秋月は今日弁当?学食?」
隣の席の山田が笑った。
「弁当。でも足りないから購買行く」
「おー俺も。一緒に行こうぜ」
山田はサッカー部だ。
短髪にキリリとした眉毛でにっと笑う。
一年の時から同じクラスで、明るく気さくで話題も豊富。
一緒にいて疲れない、数少ない友人の一人。
ざわざわと騒がしい廊下を並んで歩く。
「陸上部って結構新入部員入ったよな」
「あーうん、20人近いかな」
「20?!すげーな…」
特別陸上部の強豪校という訳ではない。
ただ県大会や関東大会に進める選手は何人かいて、この辺りでは少し有名といった程度だ。
「サッカー部、マネージャー決まったって?」
そうそう!と山田は目を輝かせた。
「存在がもう有難いんだよね。雑用みんなやってくれるからさ、サッカーに集中できるんだ」
部活の話しをしているうちに到着した購買は、いつもながらごった返している。
「俺焼きそばパン狙いで行くわ。秋月は?」
「たまご蒸しパン」
「よし、行くぜ蒸しパン王子!」
「………え、なにそれ」
「お前の今のあだ名」
「え?」
「因みに初代は氷の貴公子」
「え?」
「二代目は空の貴公子」
「え?」
「蒸しパン王子は三代目!どんなあだ名でも俺は秋月が好きだぜ!」
「え…?………ありがとう…?」
「どういたしまして!行くぜ突入!」
そう叫んで人混みに飲まれていく山田の背中を見つめる。
(……え、なに今の…)
遠くなっていくのはその背中だけではない気がしてならない。
二代目と三代目の差がひどいとは思ったが、うかうかしてたらたまご蒸しパンは手に入らない。
戦場さながらと化した購買に踏み込んだ。
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