アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
34
-
昼休憩を挟み、午後練が始まった。
長、中距離選手はロードワークへと校外へ出て行き、短距離選手は50mダッシュ20本が告げられた。
他にもそれぞれの種目に分かれ、各練習が始まる。
「マットちょっと動かすぞー」
緒方さんの掛け声で集まった高跳びの選手は、緒方さんと自分を含めて八人。
六人が一年生だ。
「んじゃぁ一年から跳ぶか?」
「俺っ!緒方さんの跳ぶとこ見たいっす!」
そう言い出したのは、一年生の柴田。
まだあどけなさの残る幼い顔つきの柴田は、緒方さんに憧れて高校から高跳びを始めたらしい。
いつもニコニコとした人懐っこいその姿は、子犬のようで可愛らしい。
「おっ?そうかそうか?じゃあ先に一本跳ばせてもらおうかな!」
得意気に腕を組んだ緒方さんが鼻歌交じりに助走位置についた。
靴紐を結び直し、その場で三回ジャンプ。
「じゃ行くぞー!」
そう言って、バーに向き直る。
ゆっくりと目をつむり、大きく吸い込んだ息を吐く。
その目が開かれた時には、別人の様な顔つき。
全てを穿つかのような鋭い目。
バーに向かって静かに走り出す。
力強く地面を蹴り上げる。
効果音をつけるなら、ふわり、がきっと正しい。
無駄のない動き。
バーは微動だにしない。
緒方さんはマットへ降り立つと空を仰いで気持ち良さそうに笑った。
ぞくりと鳥肌が立つ。
どわっと一年生から歓声が上がる。
「緒方さん!すげーっす!」
柴田に至っては走り寄った。
「俺だからな!」
緒方さんはまた得意気に腕を組んだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
35 / 1191