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「次、秋月さんのジャンプも見たいっす!」
「あ、うん」
そう柴田に促され返事をしたものの、緒方さんの次に跳ぶというのは正直あまり気分の良いものではない。
あんな完璧な跳躍の後だ。
どう考えても見劣りする。
助走位置につく。
軽く息を吐き、走り始める。
地面を蹴る。
視界一面に初夏の空が広がる。
マットに落ちる。
「秋月さんもすげー…」
そう声を上げたのは飯野(いいの)。
彼も高校から高跳びを始めた一年生だ。
「いや、俺はまだまだだよ」
「謙遜する姿もかっけーっす!」
「当たり前だろ!秋月なんだからな!」
「俺だからってなんですか。意味がわかりません」
「え?!なんで?!」
「ふぉぉぉぉ!!」
「秋月さんさすがっす!」
完璧に一年生はテンションが上がっているようだった。
「よーし、じゃあ一年生な」
柴田と飯野の他に、笹倉(ささくら)、田中(たなか)の二人も初心者だ。
先に中学からの経験者である小野寺清人(おのでらきよひと)、理人(りひと)兄弟が跳ぶ。
彼等は双子だ。
「理人!跳ぶ前に歩幅合わせようとするな!」
「清人は腕の振り上げるタイミングがちと遅い!」
緒方さんは的確に指導をしていく。
が、
「名前が逆です緒方さん」
「なにぃっ?!すまん!お前ら似すぎ!」
「まぁ双子ですから」
自分達のやり取りに、一年生の間にどっと笑いが起こった。
続いて初心者組。
彼等には跳躍のフォームから教えていく。
背中を支え、身体に動きを覚えさせるのだ。
まだぎこちない動きで、誰もがバーを越えられはしない。
「オッケーオッケー!だいぶ形になってきたぞ!」
「あざーっす!」
「んで秋月」
「はい」
「助走位置な、あと五歩分下げてみろ」
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