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「まぁ男に告白されたらそりゃ困るよな」
頬杖をつきながら山梨さんが薄く笑った。
「いえ、そうではなくて…」
ん?と眉毛を上げた山梨さんを見て、失敗したと思った。
そうなんです、とでも答えて適当に終わらせるべきだったのかもしれない。
まとまっていない考えを言葉にするのは苦手だ。
だが山梨さんが相手では下手な小芝居も通じない。
諦めてそのまま言葉を口にする。
「…恋愛とか興味なかったので」
「え、秋月童貞?」
「うるさい井上。で?」
「誰かを好きになったことも無いし、だからその…男だとかそれ以前の問題な訳で…」
これ以上なんと言っていいのか分からない。
相手が女子だったのなら、今まで通りに断ればいい。
しかし相手は同じ部活の先輩だ。
今までの感じから緒方さんなら断ったとしても、そこまで気まずくはならないような気もする。
でも、あの元気の塊のような人が真っ赤にしていた顔を思い出すと、断り方が難しい。
「なるほどね」
いただきます、と山梨さんは呟いてみそ汁をすすった。
「全くいないのか?アイドルとか、憧れの陸上選手とかさ。なんかこう秋月の心を掴む人」
「最近はテレビ見ないので…まぁでも憧れの選手なら」
おっ、と瀬川さんが身を乗り出した。
「誰?オリンピックとか出てた?」
「いや、緒方さんです」
「「「は?」」」
メンバーを変えてのシンクロ。
「え…秋月って緒方に憧れてるの?」
心底意外そうに瀬川さんが言った。
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