アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
45
-
そんなに驚く事だろうか。
今年の新入部員は約20人。
そのうち六人もが高跳びだなんて、短距離走や長距離走に比べて競技人口の少ない競技なだけに、なかなかに有り得ない。
柴田だって他の一年生だって、みんなあの人の跳ぶ姿に憧れているではないか。
「まぁ、緒方はうるさいし面倒臭いけど、跳んでるとこは反則だよね。いただきまーす」
瀬川さんもみそ汁をすすった。
「あれは反則」
井上さんも頷いた。
「そっか。まぁ仕方ないよな」
山梨さんが唐揚げに箸を突き立てた。
「別に緒方と付き合えって言ってる訳じゃねーぞ?男同士だからな。正直俺には理解できない。ただ、理解はできなくてもあいつがお前に本気なんだろうなってのは、まぁ見てれば分かる」
「はぁ…」
「男子校って訳でもない。緒方自身が全く女にモテないかっつったら、そんな事もない。むしろ俺からしたらモテモテな部類だ。それでもあいつはお前を選んだんだ。それだけは分かってやってくれ」
そう言って箸を口に運んだ。
(本気…)
誰かに、特定の人間相手に本気になるというのは、どういう気持ちなのだろう。
母親が涼しい部屋で見ていた昼ドラでは、一人の男を取り合って二人の女が壮絶な争いを繰り広げていた。
大粒の涙を流し、悲しみに狂って叫ぶ。
そんな争いを繰り広げる程に、誰かに本気になる。
今はまだ、理解ができそうにない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
46 / 1191