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日を追う毎に昼間の時間は長くなり、それに比例するように気温は上がっていった。
今年は空梅雨で雨が少なく、テレビで水不足が懸念されていたものの、天候に影響される屋外運動部員にとってはありがたいものだった。
緒方さんからの告白を忘れた訳ではなかった。
ただ、毎日授業と部活に追われ一緒に登下校はするものの、今まで以上に激しくなったように思えるマシンガントークで、こちらから話題を振るタイミングすら掴めない。
変わらず廊下を歩けば大声で呼ばれ、校庭で体育の授業でもしようものなら、四階にある三年生の教室の窓から身を乗り出して手を振られ、山田に笑われた。
緒方さんは告白自体をなかった事にしたいのでは、とさえ思えた。
真っ赤になった顔。
揺れていた瞳。
山梨さんの
あいつがお前に本気なのはわかる
という言葉。
それらがはたして本当に起こった出来事だったのか、それとも変な夢でも見ていただけなのか。
何事もなく過ぎていくの日々の中で、分からなくなっていった。
廊下から見える木々は濃さを増し、練習の終わった部室には部員の声とヒグラシの鳴き声が入り交じる。
高校生活二度目の夏休みを迎え、今年も八月の頭から一週間の合宿が始まった。
合宿二日目の夜。
熱帯夜続きの今日この頃の中でも特に湿気が酷く、吹く風が海の匂いを運んだ。
窓は開け放たれ、各部屋に一台ずつ設置された扇風機が最速で風を送るもみんな寝付けずにいる。
乾ききっていない髪の毛をタオルで拭きながら、玄関ホールにある自動販売機までぺたぺたと廊下を歩く。
他の学年も寝付けないのだろうか。
合宿所全体の雰囲気が落ち着かない。
ガコンと音を立てて出てきたスポーツドリンクを手にする。
ひやりと冷たく、額に当てながらまた部屋へと戻る。
「えっ?!嘘だろ?!」
三年生の部屋の前を通りがかった時、田沼さんの声が廊下に響いた。
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