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「まぁ秋月が俺を好きになるまでは、無理強いはなんもしないよ。でもそうだなぁ…完璧フラれると思ってたから、なんも変わらないようにしてきたけど」
また強い風が吹き抜けた。
「ほんのちょっとでも可能性があるのなら、これからは秋月を本気で落としに掛かるかな」
どこか威圧感のある声色。
バーを見据える時と同じ、真っ直ぐな目で見つめられ息が詰まった。
風に漆黒の髪が揺れ、月明かりを反射した瞳は鈍色に光る。
なにかがゾクリと、背中を走った。
「よし、わかった!俺も男だ!一つ賭けに出よう!」
そう言って緒方さんはポンと手を叩き、いつものように、にっと笑った。
「賭け…ですか」
「おう!思い立ったらナントカだからな!」
そこからは、スローモーションだった。
緒方さんの手が自分の右腕を掴み、軽く引いた。
何事かと驚き、視線が引かれた腕に移る。
小さな、囁くような声で名前を呼ばれ、顔を上げる。
50cm程離れた位置にあったはずの瞳が、数cmと離れない程に距離を縮め、閉じられた。
それから、唇に温かく柔らかい感触の何かが触れて、離れた。
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