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なにが起こったのか分からない。
また元の距離に戻った瞳が、三日月を描く口元に反して不安げに揺れている。
「イヤだった?」
「……え?」
(……え…今、何が起こった…?)
母がクーラーの効いた涼しい部屋でみていた、ドラマのワンシーンが頭の中に蘇る。
「今…キ、ス…しました?」
なんとか絞り出した言葉は、自分の声とは思えないほどかすれ、震えていた。
「うん」
(…キス…?緒方さんが…俺に…?)
「イヤだった?」
もう一度、同じ質問。
(嫌では…なかった…)
「……いえ」
ははっと緒方さんが笑った。
「なら大丈夫だ!」
なにが…
そう言おうと口を開きかけた時、グッと両肩を掴まれた。
身長は緒方さんの方が5cm程高い。
学年も違うし、自分よりスポーツ選手として身体も出来上がっている。
それでも肩に触れた掌があまりにも大きくて、力強くて、身体がビクリと震えた。
「ぜってぇ落とす。から、付き合ってくれ」
また真っ直ぐな瞳を向けられて、まばたきも忘れて、自分の意思とは全く別になぜか、小さくこくりと頷いていた。
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