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「そろそろ俺達も裏山だろうなぁ」
卵焼きを箸で掴み、岡田が唸った。
「傾斜がキツイからね。体力作りとか筋力アップには最高だけど」
裏山の道路はきちんと舗装されてはいるものの、標高が低いだけに傾斜がきつい。
陸上部だけに限らず、他の運動部員からも恐れられている。
「俺達もロードワークですか?」
ご飯で頬をハムスターかリスのように膨らませた柴田。
「冬場はね。この時期はロードワークって言うより、坂道ダッシュかな」
柴田がごきゅっと喉を鳴らした。
「ここ来てもいい?」
突然の背後からの声に、自分の喉もごきゅっと鳴った。
振り返れずにいた。
それでもその声の持ち主がどんな顔をしているのか、想像するまでもない。
「どうぞどうぞ!」
と笑顔の岡田。
「ちょっとぉ緒方くーん、合コンじゃないから席替えは料金発生するわよー」
緒方さんの隣に座っていた井上さんが、箸を咥えながら言った。
「キャバクラでもねーぞ」
山梨さんの声で食堂中に笑いが起こる。
「じゃあ俺は山っちの隣に移動しよーっと」
「来んな!肉が伝染る!爽やかな朝が台無しになる!」
「山っちひどい!てか肉ってなに?」
緒方さんは気にもとめないという風に、鼻歌交じりに隣に座った。
緒方さんが普通に接してくるのならのなら、やはり自分も普通にするしかないだろう。
(夢かもしれないし…)
心の中で深呼吸をし、お茶を飲み込む。
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