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「次!岡田!柴田!笹倉!よーい」
音に合わせて同じように駆け出す。
「次、緒方、田沼、秋月な。お前ら井上がちゃんと止まってるか確認しておいてくれ。緒方!最初のカーブミラーまでだぞ!」
「一番に井上を行かせるなんて、部長も暑さにやられてる?」
ニヤニヤと田沼さんが笑った。
渡辺さんは軽く口元を痙攣させ、すまん、と笑った。
「ねぇ秋月、なんで俺だけ二回言われた?」
「緒方さんだからです」
「え?」
「行くぞ、よーい」
乾いた音で踏み出す。
加速するにつれて向かってくる風の抵抗が強くなる。
炎天下のグラウンドよりは、木々のおかげでいくらか涼しく感じるが、地面を蹴り上げる足が徐々に重たくなる。
耳に響くのは一定のリズムで荒く繰り返される自分の呼吸。
濃い緑が広がる中でカーブミラーのオレンジ色が、やけに人工的な色彩を放って目に飛び込んでくる。
駆け抜け、ゆっくり足を止める。
膝に手をあて下を向くと、バタバタと汗が地面に落ちた。
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