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「今日の暑さヤバイ…」
「頭いてー…」
みんな散り散りに水分と日陰を求めて歩き出す。
重い足を引き摺り、L字沿いの木陰に入り座り込む。
ボトルのドリンクを飲み込むと、冷たい液体が喉を通る感覚がはっきりと分かった。
グラウンドではサッカー部がボールを追いかけ、砂埃の中を走り回っている。
「秋月」
声のする方を向く。
顔を動かす度に、汗が頬を伝う。
「緒方さん…お疲れ様です」
おう、と言って隣に腰を下ろした。
「思ってた以上にキツかったな」
「…はい」
砂埃の舞うグラウンドを見つめる。
頭が熱でぼーっとする。
風もない。
「お前大丈夫か?」
質問の意味が分からず、顔を上げる。
何が、と言いかけた口に何か放り込まれた。
ひやりと冷たく、かたい。
「糖分と塩分補給。みんなには内緒な」
緒方さんはにっと笑った。
口の中で転がすと、ほんの少し甘く、同じくらいしょっぱい。
「…ありがとうございます」
じんわりと広がる甘みが心地よく、組んだ腕に頭を預けて目を瞑る。
日に焼けた自分の腕が熱い。
さわさわとわずかな風が木を揺らし、遠くでボールの音がする。
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