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「秋月ちょっと来て」
少しの間走り去る女子生徒を眺めていた緒方さんが、こちらを見ないまま歩き出した。
怒ってでもいるのだろうか。
いつもより少し低いその声には、怒気が含まれているように感じる。
ズンズンと歩く背中を追う。
行き着いた先は体育館の裏だった。
辺りを見回すも、監督の姿は見当たらない。
「緒方さん、監督どこにいるんですか」
「いないけど」
「……え、だって監督が呼んでるって」
「嘘に決まってんだろ!」
そう声を荒らげた。
(嘘?)
どういうつもりだろうか。
「あーもう…あれ絶対告白だっただろ…」
「いや、知りませんよ」
「そう!絶対そう!」
言葉に合わせてバタバタと手を動かした。
握られたままのペットボトルから水滴が飛んだ。
「お前何度もああやって呼び出されてるだろ?!気づけよ!」
「聞くまで分からないじゃないですか」
「モジモジしてたじゃん!」
「そうだとしても、なにも言われてないので分からないです」
緒方さんはしばらくこちらをじっとりと睨んでいたが、突如、うー…と唸るような声を上げ、背を向けてしゃがみ込んだ。
相変わらず感情剥き出しな言動だが、その原因が極めてよく分からない。
「ねぇ…一個確認していい?」
芝生にペットボトルを起き、キャップ部分を何やらいじっている。
「なんですか」
「秋月って天然だろ…」
「……はい?」
「いやっ!待って今のなし!一個に入れないで!」
「はぁ…」
またキャップをいじり出した。
「…もし告白されてたらさ、どうした?」
「断りますけど」
「ホントに…?」
「本当ですけど…」
こちらを向こうとしないので、どんな表情をしているのかが分からない。
落ち着きなくペットボトルをいじり続けている。
「もう一個確認していい…?」
浅くため息が漏れる。
「…なんですか」
「……秋月は俺と付き合ってくれてるんだよね?」
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