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思いもかけない確認事項に驚き、意思とは別に指先がぴくりと動いた。
「その…つもりですけど…」
トサリとペットボトルが倒れた。
「あーっっ!!もうごめんっ!!俺カッコ悪いっ!!」
急にそう叫んで頭を抱えた。
(さっきからなんなんだ一体…)
「………ねぇ…カッコ悪いついでに一個お願いしていい?」
もはや緒方さんが未知の生き物に見えてくる。
「…なんですか」
「無理強いしないって言ったから、イヤならいい…」
「だからなんですか」
「手…触らせて…」
「はぁ…」
どうしたらいいのか、とりあえずしゃがみ込んだままの緒方さんの前に回り、ペットボトルを手にしていない右手を差し出してみる。
が、顔も上げないまま両手を伸ばしてきた。
もう一度ため息が漏れ、ペットボトルを置いてその手を取る。
「ごめん…」
「何を謝ってるのか分からないです」
ぎゅっと強く、握り締められた。
左手についていた水滴が、指先を通って緒方さんの腕を伝った。
「付き合ってるって言っても秋月は俺の事が好きな訳じゃねぇし、今みたいに告白してくる女子だっているだろ…」
「はぁ…」
ボソボソと呟くその姿を見下ろす事しか出来ない。
「……………だ…」
微かに吹いた風にかき消されるような、あまりにも小さな声に聞き返す。
「はい?よく聞こえなかっ…」
ギリッと強く、歯を噛む音がした。
ゆっくりと緒方さんが顔を上げる。
伏せられた目がだんだんと視線を上げ、その目と自分の目が合った。
その瞬間。
ドクッと音を立て、驚くほど大きく心臓が跳ねた。
痛みに耐えるように眉間にシワを寄せ、強く唇を噛み締めている。
目を見開いた自分の顔が映る瞳からは、今にでも涙が零れてきそうだ。
「誰にも渡したくねぇ…」
「…あのっ」
ドクン…ドクン…と、自分の心臓が音を立てているのが分かる。
「好きだ…」
目を合わせたまま立ち上がる。
今まで下にあった瞳にほんの僅か見下ろされ、息が詰まった。
「好きだよ…」
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