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合宿最終日を迎えた。
この日は朝から種目別に記録を取ることとなり、高跳びのメンバーは体育倉庫へ向かう。
「一年生マット頼んでいいか?」
「はい!」
緒方さんの掛け声で一年生が動き出す。
六人でマットを持ち上げ、
右だ左だ!
ぶつかる!
等と声を上げながら倉庫を出ていく。
「ポールとかバーは俺が持つから、秋月はこれな」
手渡されたのはメジャー、ただ一つ。
「いや緒方さん。俺がそれ持ちますから」
「これ重いし」
「一年生が入るまで持ってましたよ」
「まぁまぁ!俺のが力あるから!ほら行くぞ!」
正直馬鹿らしい押し問答だと思う。
運動部にしては上下関係は厳しくないし、三年生は誰も偉ぶらなければ、下級生も先輩を尊敬こそしているものの、畏怖の念などない。
それでも
「先輩にそんなの持たせて自分はこれとか。駄目です」
「秋月変な所で頑固だね?!」
睨み合う。
もちろん本気で喧嘩しようなどという気はない。
「よし、わかった」
緒方さんは少し頬を膨らませ、渋々という雰囲気丸出しでそう言った。
安堵して緒方さんの持っているポールに手を伸ばす。
が、その手を掴まれ引き寄せられた。
全く意図していない方向に引っ張られた身体は簡単によろけ、手にしていたメジャーを落としてしまった。
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