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クールダウンのランニングが始まる。
「あー…まさか三年目にしてこの結果になろうとは…」
明らかにテンションの低い山梨さん。
「残念だったねー!山っち!」
嬉しそうなのはアイスを獲得した井上さん。
「お前後半バッテバテだったけどなっ!!」
山梨さんが言い返す。
「井上って毎年そうだよなー」
緒方さんもそれに乗る。
「うるせー!ってかお前らホント何なの?!」
「誰がなによ」
「緒方と秋月だよ!特に秋月!」
飛び火してきた。
「なんですか」
「お前むしろなんで高跳びだけやってんの?って感じだよ!」
「あーそれな」
と田沼さん。
「お前一年の時もリレーのあと種目変更勧められてたろ」
「はい、まぁ…」
特に一年生に多い事だが、普段やらないこのリレーを通し、新たな可能性を見出す者が毎年現れる。
長距離走者に負けて200mを辞める者、逆に長距離から短距離に移る場合もある。
自分も去年、高跳びだけではなく短距離もやってみないかと散々監督に言われていた。
「下手したら今すぐ井上くらいには勝てるんじゃね?」
「おっと聞き捨てならなねぇ!秋月!勝負だ!」
井上さんは県大会出場経験者だ。
そんな簡単に勝てる訳がない。
「いや、遠慮します」
「なんだとっ!逃げるのか?!」
「お前ら真面目に走れ!」
渡辺さんの檄が飛び、誰もがぴたりと黙る。
が、山梨さんは下を向いたままブツブツとなにかを呟き続けていた。
グラウンドを三周し、念入りなストレッチを行う。
用具の片付けが終わると、そのまま打ち上げ会場へと移動する事となった。
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